皮膚からカラダを整える術を身につけよう!

      2018/11/28

 

どうも、理学療法士の魚住です。

 

私たちセラピストは、目の前の患者さんや利用者さんの問題点として、筋肉や骨・関節という側面に着目することはあっても、皮膚に着目することは少ないのではないでしょうか?

カラダの最も外枠であり、一枚皮で全身を包み込んでいる皮膚というものを深く考え、そして扱っているセラピストが少ない、ということです。

皮膚へのアプローチという要素が、あなたの中に増えることにより、より幅広い観点で問題解決を図ることができるようになるでしょう。

それはつまり、あなた自身の世界が広がるということです。

 

あなたの世界が広がった分、目の前の患者さんや利用者さんの可能性や能力を広げることができるかもしれない、ということです。

今回のブログでは、皮膚の理解を深め、そして臨床で活かせるようになるための情報をお伝えしていきたいと思います。

 

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皮膚の構造


私たちのカラダを一枚皮で覆っている皮膚は、成人の場合、その面積は約1.6平方メートルと畳約1畳分。

重さは体重の約16%を占めています。

その構造を断面で見ると、カラダの表面から大きく分けて

・表皮
・真皮
・皮下組織

の3層構造になっています。

表皮は、カラダの場所によって異なるが、0.2ミリ程度の厚さがあります。

ここには、角質層をつくる角化細胞、メラニンをつくる色素細胞、免疫を司るランゲルハンス細胞などがあって、皮膚の内部を保護する役割を担っています。

 

表皮の下にある真皮は、1〜4ミリと厚くできています。

ここには、血管やリンパ管、神経、皮脂腺、汗腺などが入り組んでいます。

コラーゲンなどのタンパク質でできており、弾力や張り、皮膚表面のシワやたるみの形状に影響を与えています。

皮膚の強さは、この真皮で保たれています。

 

皮膚の一番場所にあるのが、皮下組織です。

ここには、皮下脂肪が含まれていて、断熱材の役割をしたり、エネルギーを蓄えたりする働きがあります。

衝撃を和らげるクッションになるのもこの皮下組織になります。

 

皮膚の下には筋肉があります。

皮膚と筋肉の間には、もう1層あり、それが筋肉を包んでいる筋膜の一つである『浅筋膜』と呼ばれているものです。

 

皮膚が動くのは、浅筋膜とそれより浅い部分がズルズルと滑っているからです。

皮膚と骨は同じように動きません。

つまり、骨の動きと皮膚の動きには同一性がない、ということです。

 

皮膚の動きには、これ以外にも、部位によって動きが大きい場所と、小さい場所があるということ。

そして、浅筋膜での滑走の動きは、高齢者よりも若い人の方が大きいという傾向があるということも言われています。

出典:「皮膚をゆるめる」と痛みは取れる icon-book  

 

皮膚の “動き” には原則がある


さて、前項では皮膚の構造についてみてきました。

その中で、皮膚の動きには一定の法則が存在する、ということをお伝えしました。

そのことに関しては、以下のように書かれています ⬇️

 

皮膚運動の5つの原則

①皺ができると、さらに皺が深くなる運動は抑制される。伸張された皮膚の部位は、さらなる伸張方向への運動は抑制される。

②伸張されている部位を弛緩すると伸張方向への運動が大きくなる。また、弛緩部位が伸長されると弛緩方向への運動が大きくなる。

③皮膚の運動方向は関節の骨運動と連動し、骨どうしが近づく運動では皮膚は関節から離れる方向へ動き、骨どうしが遠ざかる運動では関節に近づく。また、回旋運動では同方向に動く。

④皮膚は浅筋膜層で筋との間に滑走がある。そのため、皮膚の緊張線を張力の強い方向へ誘導すると身体内部との中間位が変化し、運動に影響を及ぼす。

⑤身体運動では特定部位の皮膚が伸張あるいは弛緩する。伸張しにくい部位は特定の運動方向に影響を及ぼすが、その部位が伸長できると身体運動全体が大きくなる。

出典:皮膚運動学ー機能と治療の考え方 icon-book 

 

皮膚の動きの構造

皮膚の下で筋肉が活動する際には浅筋膜層(ここに皮下脂肪が含まれる)の下を筋肉が移動します。

この滑走がスムーズであれば可動域は広がりや動きはなめらかになりますが、制限があればより強い筋収縮が必要となります。

筋肉自体は筋膜の一種である筋外膜で覆われており、浅筋膜と接触しているので実際には皮膚の動きではなく筋膜の動きとも言い換えることができそうです。

出典:皮膚運動学ー機能と治療の考え方 icon-book 

 

 

皮膚を考える要素として、皮膚の移動性(可動性)・伸縮 性・アライメントの3つが挙げられます。

これらについてかなり単純化してお伝えすると、まず皮膚の移動する方向については、体幹や前腕などの回旋の動きについては、 皮膚は同方向へ動くものと考えており、回旋以外の動きについては今のところ骨運動と逆方向に動くと考えています。

このことは原則3にあたります。

また、皮膚を操作する方向性の意味としては “動きを大きくしたいところに皮膚を集めればそこが促されて動きやすくなり、 逆に皮膚を離すようにして突っ張れば動きにくくなる” 。
また、“皺が集まる(増える) 方向への動きは運動が制限され、その皺が減少する方向への皮膚の動きは運動を大きくする” といったところで、まず捉えていただけるといいと思います。

また、皮膚にはその皮膚が本来あるべき位置 (アライメント) があると考えています。

たとえ、伸縮性や移動性といった機能があってもそもそもの皮膚の位置が正しい位置になければ、それらの機能を十分に発揮できない状態になってしまいます。これが原則4にあてはまると思われます。

さらには、このような動きに伴う皮膚の運動が、動作を行ううえで自動的に行われていると考えます。

また、この皮膚の運動は動作に際し、各関節においてそれぞれ別々に行われているのではなく、全身に張りめぐらされた皮膚の連続性に基づいて、 それぞれが関連性を持って合理的な形で動いていると考えています。このことが原則5に関わっている部分ではないでしょうか。

http://www.bookhousehd.com/pdffile/msm126.pdf

 

 

皮膚をゆるめることのメリット


皮膚に “皺” がよっている。

関節を観察した際に、“皺” を観察することができれば、それは上記したように関節運動を行うときに、皺が集まってこないように皮膚を伸張することで、関節可動域が拡大するという効果が得られます。

関節可動域制限の原因として考えられるものとして、筋肉の緊張や、関節の動きに問題があるなど

皮膚という最も体表部にある組織には焦点は当てられることはなく、筋肉や筋膜、骨・関節などに焦点が当てられることがほとんどだと思います。

 

確かに、それらの問題はあるでしょう。

しかしながら、それらを覆っている外枠の部分が軽視されているという問題があります。

 

例えば、筋肉の緊張が高ければ、その外側の筋膜も緊張していますし、当然ながら筋膜の上にある皮膚の緊張も高くなっているのです。

筋肉の緊張が高くなっている。

その緊張のせいで関節可動域制限が起こっている。

 

じゃあ、その筋肉の緊張をゆるめよう、という流れになるかと思います。

 

しかしながら、筋肉の緊張は、そう簡単にはゆるまない、ということを経験したことがあるのではないでしょうか?

筋肉という組織だけに着目して、他の組織のことは見ていない。

そのことに問題があるのです。

 

筋肉をゆるめようと思ったら、皮膚をゆるめればいい。

皮膚をゆるめれば、その下にある筋膜がゆるむ。

筋膜がゆるめば、その下にある筋肉がゆるむ。

こういった発想が “ない” ということです。

 

皮膚をゆるめるという選択は、カラダにとって、組織にとって、ソフトな刺激 になります。

つまり、危険性がかなり低い、ということになります。

 

多くのセラピストは、何か効果を得ようと思ったら、それに対して強い刺激が必要であると思い込んでしまっているセラピストが少なくありません。

より効果を出そうと思ったら、より強い刺激が必要である。

そのように思い込んでしまっている、というわけです。

 

しかしながら、そんなことはありません。

ただ、触れるという刺激だけでも、十分な効果を得ることができる。

それは、体験的に知らないから、どうしても強い刺激になってしまうのです。

 

このことに関して、一つ例をあげてみると

リンパドレナージュという手技、テクニックがあります。

これは、滞っているリンパ液をセラピストが流す、というものになりますが、そのための方法としては流す前に、リンパ液が吸収されるリンパ管を開く必要がある。

リンパ管を開いてから、流れに沿って、セラピストが流していく。

そのような手技、テクニックになります。

 

しかしながら、最新の研究ではそのような方法をしなくても、リンパ液の循環を改善できるということが分かってきました。

というのも、ただ手を当てるだけ。

手の重みを患部に当てるだけで、リンパ液の循環が改善されるということが分かってきたのです。

どういうことかというと、手の重み(20g圧)という刺激により、一酸化窒素NOが発生し細動脈やリンパ菅が拡張し血液とリンパの流れが促進される、という話です。

その結果、新陳代謝が活発となる組織の活動性が上がることにより皮膚や筋膜、筋肉もゆるみます。

このように、皮膚に対して触れるという刺激だけでも、十分な効果を得ることができるという一つの例をお伝えしました。

 

話が脱線しましたが、カラダと外界とをつなぐ、最前線である皮膚の緊張をゆるめることで、皮膚の下にある組織に大きな影響を与えるということを知って頂きたいということです。

視点が狭く、偏っているがために、『木を見て森を見ず』という状態に陥ってしまっている。

ゆえに、関係する相手をより良い状態に導くことができないだけでなく、相手に違和感や不快感を与えてしまっているセラピストが少なくないのです。

 


皮膚へのアプローチには、強い刺激は必要ではありません。

むしろ、強い刺激を与えてしまうと、より緊張を引き起こしてしまうことになる。

低刺激で、十分な効果を引き出すことができる。

そのようなメリットがあるのです。

 

ただ、万能ではない。

皮膚だけのアプローチで、例えば関節可動域制限が改善できることはないと思います。

併用して、問題解決のアプローチを図ることが、より効果を得るために重要になってくると思います。

 

皮膚へのアプローチ


具体的に皮膚へのアプローチをどのように行うのか?

それは、皮膚運動学という書籍を読んだり、ネット検索することで動画などで見ることができると思います。

 

本などを見ると、この関節では、どのような皮膚の動きの法則があって、その動きに対してどういった制限があるのか?

そういった観点で問題点を見つけることが重要になってくると思います。

 

しかしながら、一つ一つの関節での皮膚の動きを覚えようと思ったら、大変ですよね?

知識や情報としてだけインプットする、というのは骨の折れる作業になると思います。

なので、実際にやりながら覚えていくことが、身になると思います。

 

上記したような法則を頭に入れておきながら、後は臨床で実際に目の前の患者さんや利用者さんのカラダを見ながら、その法則を当てはめて考えていく。

そうやって、腑に落としていくことが身になると思います。


知識や情報として、この関節は〇〇みたいな覚え方をしていくと、大変な作業になると思います。

すぐに忘れてしまいますし、使えない情報となってしまいます。

そして、部分だけをみることになってしまいます。

 

私のブログでよく書いているように部分と全体。

この両面から、モノゴトを捉えることが重要であるということを何度も書いています。

皮膚の運動というものを、部分で覚えてしまうと、部分的な問題としてしか捉えなくなってしまう。

そのような傾向になるでしょう。

 

それでは問題の本質を捉えることはできません。

なぜなら、問題というのは部分だけの問題として起こっているのではなく、必ず他との関連性の中で起こっているもの だからです。

現象として現れている部分の問題は、全体に何かしらの影響を与えています。

 

皮膚は一枚皮です。

ゆえに、一部分の緊張は、全体に影響を与えることになる。

それはイメージできると思います。

なので、必ず部分と全体という視点を持って、モノゴトを捉える必要がある。

 

それを欠かしてしまうと、問題の本質を捉えることができなくなります。

それはつまり、部分的な問題を解決しても、新たに他の問題を引き起こしたり、また同じ問題を再発させることになるのです。

 

刺激の強さ


皮膚運動学では、本当に軽い刺激、“さすり” 刺激で皮膚の緊張状態が変化する 、ということが書かれています。

また、皮膚テーピングにより、皮膚の方向づけや、皺がよっている部分を伸張することにより、皮膚の運動性が改善され、関節可動域が拡大されるという効果が得られます。

 

ここで取り上げたいのは、“さする” という刺激についてです。

 

“さする” という言葉をみて、『なんだ、簡単じゃないか!』と思われたかもしれません。

“さする” なんて簡単だ、と思われたあなたは、本当に “さする” という刺激を適切に行うことができるているのでしょうか?

 

確かに “さする” という刺激により、皮膚の緊張をゆるめることが可能です。

そして、皮膚がゆるむから、皮膚より下の組織である、筋膜や筋肉もゆるむ。

そのようなプラスの循環を生み出すことができます。

 

しかしながら、“適切” な刺激 としての “さすり” ができているのか、と言ったら疑問です。

何が言いたいのかというと、接触というものを軽視しているセラピストが多いので、皮膚の緊張がゆるむような刺激としての接触ができない、という本質的な問題があるからです。

つまり、“快” か “不快” かでいうと、“不快” な接触しかできていないセラピストばかりだということです。

 

皮膚は、外側の世界との最前線です。

最前線がゆえに、敏感なセンサーの役割を担っています。

セラピストの接触が、“不快” な接触であった場合、その不快な刺激が皮膚の緊張を生み出し、皮膚だけではなく交感神経を興奮させ、筋肉の緊張をも生み出します。

 

本来、“ゆるめる” という目的のために、触れるという刺激により、“ゆるむ” という反応を引き出そうとしているのに、それができない。

本末転倒な状況をつくり出しているのです。

そのことに気づけないセラピストが少なくないのです。


自分自身の接触が、関係する相手の緊張を生み出し、高めてしまっている。

“不感症” なセラピストが少なくない、ということです。


このことについては、過去のブログでも書いています。

詳細は、以下のブログを読んで頂けたら幸いです⬇️

・ハンドリングを高めるよりも前に、接触する『手』を考えよう! icon-external-link 

・あなたは目の前の相手をきちんと感じることができていますか?  icon-external-link 

・あなたは “違和感” や “不快感” を与えるだけの存在となっていないだろうか? icon-external-link 

 

 

話を戻して、あなた自身の接触が “快” の刺激を与えることができないことには、“さすり” 刺激ではゆるまないのです。

少しはゆるんでも、十分な効果を引き出すことができない。

 

“快” の刺激だから “ゆるむ” のです。

“不快” な刺激を与えている限り、“ ゆるむ” どころか、逆に緊張を生み出してしまっている。

そのことに気づかなければいけません。

 

“不快” な接触は、関係する相手に受け入れられない刺激となります。

“快” の接触だからこそ、不快感も違和感もなく、受け入れることができる。

 

この不快感や違和感を、いかになくすことができるのか?

そこを追求する必要がある、ということです。

でないと、いつまで経っても、あなたの接触は不快感と違和感は消えず、相手の緊張を生み出してしまう刺激にしかなり得ないのです。

 

このことを知識としてしか理解できていないと、あらゆるものを学び、身につけようと思っても、それが無駄になります。

それほど、重要なことなのです。

 

私たちセラピストは、声かけという刺激により、相手の姿勢や動作をより適切な状態に導くこともできますが、多くの場合、相手のカラダに触れるという関係性があります。

ゆえに、関係性というものを考える上で、本質的に重要な要素である接触の質を高めないことには、何もできない、ということになるのです。

 

 

先ほどにも書いたように、関係する相手に受け入れられる接触ができない限り、何も化学反応が起こらない。

あなたの接触は抵抗されるだけなのです。

排除の対象でしかないのです。

信頼関係の構築もできない。

 

それは致命的ですよね?

あなたとの信頼関係を構築できないのですから、当然ながらあなたの刺激は受け入れられないのです。

技術やテクニック、方法論ではないのです。

最も大事な、根幹の部分が抜けている。

だから、何もできない、効果を出せないということになるのです。

 

ここでお伝えしていることをカラダで理解するために、あなた自身のカラダを使って実験してみましょう。

どちらの手でも良いので、さする側とさすられる側を決めて、手をさすります。

まずは、何も考えずにさすってみて下さい。


さする側の手の感覚、さすられる側の手の感覚。

それぞれ、どのように感じるでしょうか?

どちらも “快” の刺激を感じることができているでしょうか?

それとも、違和感や不快感を感じているでしょうか?

さする手がさすられる側の手に、フィットしていますか?

馴染んでいますか?

 

何も考えずに “さすり” をやっていると、あまり気持ち良くはないと思います。

ここで、声に出しても良いですし、心の中でつぶやきながらやっても良いので、『気持ち悪く』と言いながらさすってみて下さい。

 

どうでしょうか?

“気持ち良く” はならないですよね?

お互いの手がフィットすることもないし、馴染むこともない。

ゆえに、ゆるむこともない。

 

しかしながら、『気持ち良く』と声かけやつぶやきながらさすってみると、どうでしょうか?

どんどん気持ち良くなってきませんか?

“快” を感じませんか?


手が温かくなったり、フィットする、馴染む感覚。

よりお互いの手の隙間がなくなって、密着度が高まる。

このように、『気持ち良く』という意識があることで、脳に学習効果があるのです。


『気持ち良く』さするには、どのようにさすれば良いのだろう?

それを試行錯誤するようになるのです。

自己調整、自己修正し始めるのです。

 

さする側も、さすられる側も、どのようにすれば『気持ち良く』なるのか?

そのような過程を経て、細胞が目覚めるようになる。

 

細胞が目覚めることにより、活動性が上がるので感性も高まります。

ということは、より情報が良いカタチで脳にフィードバックされる、ということです。

『気持ち良く』なってきたら、より “気持ち良く” なるためには、どうあるべきか?

良い循環が生まれるのです。

 

『気持ち悪く』という意識があると、その逆で『気持ち悪く』なるためにはどうしたら良いのか?

そのような関係性になってしまいますよね。

細胞が活性化し、ゆるんだ手の感じはいかがでしょうか?

触れる側も、触れられる側も心地よいですよね?

 

このような状態になってこそ、受け入れられるし、ゆるむのです。

ゆるんだ手で触れられるから、ゆるむのです。

 

固く、緊張した手で触れられて、ゆるむことなんてあり得ないのです。

それをカラダで、理解することが重要だと思います。

あなた自身のカラダで体験すれば、あなた自身の手について、探究せざるを得なくなるのですから。

 

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皮膚テーピング


先ほどは、“さすり” 刺激についての話をお伝えしてきました。

“さすり” 刺激は、セラピストの手を介する必要があります。

ゆえに、セラピストの手のゆるみ度合いにより、その効果が大きく異なってくる。

 

その一方で、セラピストの手に影響を受けることなく、効果的に行える方法があります。

それが、皮膚テーピングです。

これは、テーピングの張力を活かして、皮膚の張力をコントロールする ということになります。

 

分かりやすい話でいうと

関節に皺が集まる部分があれば、その皺をテーピングで皺を伸ばす方向に皮膚を伸ばせば、関節可動域が拡大する、ということです。


これは皮膚運動の法則である

『皺ができると、さらに皺が深くなる運動は抑制される。伸張された皮膚の部位は、さらなる伸張方向への運動は抑制される』

という法則に基づいて行っているものです。

 

皺が深くなれば運動は抑制される。

じゃあ、皺が深くならないように、テーピングで皮膚の状態をコントロールすれば皺が深まらないから、運動が抑制されない、という発想です。

 

もう一つ、

『皮膚の運動方向は関節の骨運動と連動し、骨どうしが近づく運動では皮膚は関節から離れる方向へ動き、骨どうしが遠ざかる運動では関節に近づく。また回旋では同方向に動く』

という法則があります。

 

関節可動域制限がみられる関節の評価を行い、皮膚の緊張状態を観察した上で

この法則に基づいて、どのような問題があるのか?

皮膚の状態を把握できたら、この法則に基づいてテーピングの張力で、皮膚の方向づけを行うことにより、問題が解消されることになるのです。

 

〇〇関節には、このようにテーピングを貼る、とか

マニュアル的に方法を覚えるのではなく、皮膚運動の法則を理解し、法則に基づいて、どのような刺激を与えることで、問題が解消するのか?

そのような視点、発想を持つことが重要なのです。

それが使える知識であり、情報となるのです。

 

テーピングは、テープの持っている “張力” という刺激を、皮膚にインプットしている わけです。

その張力刺激が、テープを貼った皮膚に対して、どのような反応を引き起こすのか?

そこを捉えることができないといけないのです。

 

張力刺激なのですから、刺激の要素が複数ありますよね?

『強さ』『方向』です。

 

どのような張力で皮膚にテープを貼るのか?

どの方向に皮膚を方向づけるのか?

こういったことです。

 

そこを考えなければ、刺激の質として “適切” な刺激を与えることはできない。

ゆえに、反応も適切な反応を引き出せない、ということになるのです。


私のブログで重要視している『刺激』と『反応』という関係性ですよね。

この関係性でもって、モノゴトを捉えていくこと。

それが何よりも重要なのです。

 

皮膚テーピングの一例としては、以下の動画をご覧下さい⬇️

 

 

道具を使用しての刺激


ここまでは “さすり” というセラピストの手による刺激と、テーピングの張力による刺激についての話をお伝えしてきました。

その他に、私自身がこれまで体験してきた上で、非常に効果的な方法として道具を使用しての皮膚刺激というものがあります。

 

道具というのは、このようなものです⬇️

 

ブラシと、頭皮マッサージ用の器具です。

両方とも、1000円ほどで購入出来る安価なものです。

 

ブラシに関しては、アマゾンなどで検索すると様々な種類のブラシが出てくると思います。

動物の毛の種類によって、その毛の硬さが異なっています。

硬い毛のブラシだと、皮膚にとって強刺激となり、痛みを伴うことになるので “ゆるむ” どころか、逆に緊張を引き起こしてしまう危険性があります。

 

このブラシは、馬毛ブラシです。

他に豚毛ブラシもありますが、豚毛は硬いです。

なので、敏感肌の方には不向きですね。

 

頭皮マッサージ用の器具は、刺激の強さをセラピスト側で調整できます。

こちらも製品によって硬さが異なっていると思うのですが、あまり硬いものはオススメできないですね。

これらの器具の具体的な使い方については、以下の動画をご覧頂けたらと思います。

 

 

意識を用いた刺激


皮膚の運動には、法則があります。

その法則に則って、関節運動を行ってみる。

その際に、皮膚の運動方向を意識する ことで可動域が拡大します。

 

患者さんや利用者さんの自主運動を指導する際に、皮膚の運動方向を意識してもらって、関節運動を行ってみてもらうことが効果的に自主練習指導となるでしょう。

 

例えば、肩関節の屈曲運動を自主練習で行ってもらうとします。

肩関節屈曲運動の際に肩関節後面に皺が集まることが確認することができるでしょう。

 

皮膚運動の法則に当てはめてみると、皺が深くなることで、皮膚運動が制限され、皮膚と浅筋膜との滑走性が阻害された結果、関節可動域制限を生じることになります。

皺深くならないように、意識を用いて、皮膚の運動方向を意識してみる。

それだけで、可動域の拡大につながるのです。

 

肩関節の屈曲でいうと、上腕骨の屈曲運動の際に皮膚が肩甲上腕関節の方向に運動を生じさせてしまうと、
皺を深くすることになってしまいます。

関節に近づく方向に運動させるのではなく、関節から遠ざかる方向に運動が起こるように意識を持ちながら肩関節屈曲を行う、ということです。

 

ひとは同時にいくつも意識できない特性があるので、肩甲上腕関節関節に近づく方向ではなく、関節から遠ざかる方向に皮膚運動のベクトルだけに限定して意識してもらい、屈曲運動をやってみてもらうことから始めていけば良いと思います。

その意識操作により、きちんと可動域が拡大するという効果がみられているのか。

そこの確認は必要です。

 

重要なことは、やる本人が、その変化や効果をきちんと感じることができているのか、ということなのです。

自分自身の意識操作で、カラダに変化がみられる。

そのことが重要なのですから。

 

意識操作の “やり方” が適切でないなら、そのやり方をきちんと始動する必要がある。

これは大前提ですよね。

方法だけ教えて、あとはやる本人に丸投げしないこと。

 

動作の中での刺激


ここまでは、皮膚刺激を受ける側は、姿勢変化のない状態での刺激方法について説明してきました。

分かりやすい言葉で言うと、ベッドで寝ている状態で関節可動域拡大のために、膝関節周囲の皮膚に対して刺激を与えるといった感じですね。

 

ここでは、動作の中でセラピストが接触刺激を与えることにより、皮膚と浅筋膜での滑走の動きを促していく、ということについて話を書き進めていきたいと思います。

ハンドリングを行う際に、関係する相手のカラダにセラピストの手で接触すると思います。

その状態をイメージして頂けたらと思います。

 

皮膚に触れると、皮膚の緊張している部分を感じられると思います。

その緊張している部分が、筋膜や筋肉、そして骨の動きを妨げている。

私自身の主観的な感覚ですが、相手のカラダに接触している手から、そのような感触が伝わってきます。

 

立位の中で皮膚の方向を誘導する

歩行動作の中で、皮膚の方向を誘導する


このようなことを私は臨床の場面で行っているのですが、その際に重要なことがあります。

立位での体重移動練習の際においては、そこまで大きな重心移動を伴わないので、難しくないですが、

歩行動作となると、重心移動量が大きくなるがために難易度が一気に上がります。

 

このように大きな移動量を伴う動きの際に、相手の動きを邪魔することなく、皮膚への密着を保ったまま、セラピストが動けるのか、という問題があります。


相手と一緒に動く。

これが難しいのです。

相手と一緒に動くことが難しい。

 

さらに、皮膚への刺激という目的があるのですが、接触のタッチがとても重要になってきますよね?

相手と一緒に動く際に、相手が動いた瞬間にセラピストの力が入ってしまう。

つまり、セラピストのカラダに緊張が高まってしまう。

このことが問題なのです。

 

セラピストのカラダが緊張してしまうと、その緊張が手を介して相手に伝わってしまうことになります。

そして、セラピスト自身のカラダのバランスが崩れることになるために、手の緊張が高まってしまうのです。


手の緊張が高まってしまうと、相手の皮膚の状態を感じ取ることができなくなります。

相手の皮膚の状態、カラダの状態を敏感に感じ取ろうと思ったら、手はゆるんでいる必要がある。

これが難しいのです。
セラピスト自身の重心移動がスムーズに行えないと、相手の重心移動を妨げることになる。

相手と一緒に動くというのは、相手の動きに、セラピストが合わせる、ということになります。


しかしながら、多くのセラピストはカラダづかいに問題があるために、セラピスト中心のカラダづかいになっているのです。

このことに気づいているセラピストは少ないでしょう。

つまり、この問題に対して無自覚である、ということです。

 

相手と関係するということは、そこに自然とセットでバランスが崩れる、という状況になるのです。


相手と関係することでバランスが崩れる。

そのために、自分自身のバランスを再構築する必要があるのですが、このバランスの再構築のためにカラダの緊張を高めてしまうことになる。

カラダの緊張を高めることで、バランスを保とうとする。

このような姿勢制御のプログラムがあるがために、カラダを緊張させてしまうのです。


つまり、セラピスト自身がゆるめない。

セラピスト自身のバランスを再構築することに意識が向いてしまうので、関係する相手を感じ取ること

そして、相手をハンドリングすることに意識を集中できなくなるのです。

 

このような問題があるということを自覚し、自分自身のカラダづかいというものを見直し、高めていかないことには、ただ相手の邪魔をしていることにしかならないのです。

不快感や違和感を与えているだけでしかないのです。

 

 

さて、動作の中で皮膚の方向を誘導する。

これを実際にやるとなったら、そう簡単なことではない、ということを理解して頂いた上で、

どのような感じにやっているのか?

そこをお話ししたいと思います。

 

これも、私自身の主観の話になります。

イメージとしては、皮膚に触れると皮膚の全体的な外枠が浮かび上がります。

それと同時に、緊張している部分や、緊張が抜け落ちている部分も、私の手に伝わってきます。

この手に伝わってくる情報をもとに、皮膚の方向を誘導していくことになります。

 

目的としてあるのは、皮膚に対して接触刺激を与えることで、皮膚の緊張を解放する方向に皮膚を誘導する、という目的があります。

皮膚という一枚皮の中に、筋膜や筋肉、そして骨がある。

私自身が意識しているのは、骨ですね。

 

筋肉の緊張状態を手でモニタリングしながら、骨がより自由に皮膚の中で動くように、皮膚を誘導していく。

皮膚という一枚皮の中で、骨がズルズルと動いている。

動作において必要な骨・関節の動きを邪魔している皮膚や筋肉の動きがあれば、それが現れないように皮膚の方向コントロールしていく。

そのような感じで動作練習を行っていると、カラダが学習してきます。


快適に動作を行うために、どのようなカラダづかいをすれば良いのか。

それを自己修正、自己学習するのです。

そのために、セラピストは皮膚の方向を導き、相手の反応を引き出していくのです。

 

皮膚がゆるんでくると、皮膚が浅筋膜での滑走性を取り戻します。

それが、筋膜や筋肉などの組織の動きを取り戻すことにつながります。

 

つまり、ゆるむということです。

本来の柔軟性を取り戻し、骨・関節の位置や動きを邪魔しないようなニュートラルな状態になる。

本来あるべき状態を取り戻すことになるのです。

 

こういった状態を取り戻すこと、引き出すことがセラピストの役割だと考えています。

それを皮膚への接触刺激を通して、反応を引き出している。

こういったことを皮膚アプローチとしての本質をベースに持ちながら、関係していくのです。

 

具体的な方法というものはありません。

実際に相手のカラダに触れてみないことには、皮膚の状態を評価できない。


そして、触れながら動いてみないことには、カラダづかいを感じ取ることができない。

なので、実際は接触を通して評価とリハを兼ねて同時進行で展開していくものなのです。

 

 

まとめ

 

ここまでの話を踏まえて、いかがだったでしょうか?

皮膚へのアプローチというものが、あなたの選択肢として増えればこの上ない喜びです。

 

皮膚というものを扱うがゆえに、接触することの質を高める必要があります。

いかに不快感や違和感を与えることなく、接触できるのか?

そこにセラピストとしての “差” が大きく現れてくるでしょう。

 

質の高いセラピストほど、違和感なく接触することができる。

 

セラピストである以上、接触の質を高める努力が必要です。

相手と関係する以上、相手に受け入れられる接触ができないことには、何もできないのですから。

 

あなたの接触は、相手に受け入れられる接触ですか?

相手に抵抗され、排除されるような接触になっていないですか?

 

接触の質を高めるために、あなた自身の手を開発すること。

その努力をし続けていくことが必要不可欠でしょう。

 

何かしらの技術やテクニック云々ではなく、まずセラピスト自身の手を開発すること。

それが何よりも重要だと思います。

 

ということで、今回のブログは以上になります。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

 

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