歩行動作のパフォーマンスを最大限に引き出すために必要なこと

      2018/11/28

 

どうも、理学療法士の魚住です。

 

あなたは歩行動作の指導を行う際に、どのような観点から歩行動作の指導を行っているでしょうか?

目の前の患者さんや利用者さんに対して、より楽で省エネな歩行動作を引き出す。

歩行動作のパフォーマンスを上げる、ということを考えたときに重要となる要素として、楽で省エネな動作を獲得する、ということが重要となってきます。

頑張って動くことが、パフォーマンスを上げることには直結しません。

 

カラダという身体資源を、いかに重力場という環境において調和した状態で使えるのか。

そういう視点をもって考えると、様々な観点からパフォーマンスアップのために必要なことが見えてくると思います。

 

今回のブログでは、歩行動作のパフォーマンスを何段階も引き上げるために欠かせない、“カラダづかい” についての話をお伝えしていきたいと思います。

 

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ブレーキ成分を減らすこと


歩行動作だけではなく、あらゆる動作や運動を行う際に重要となってくるのは、その動作や運動を行う際に生じるブレーキ成分をいかに減らせるのか、ということです。

ブレーキ成分を減らすことができれば、動作の動き始めの部分では大きな力を要しますが、その後は “慣性の法則” を活かして、楽で省エネな動作ができるようになるからです。


つまり、それほど大きな力を必要としない、ということです。

頑張らせない動作や運動ができる、ということです。


多くのセラピストが、より力を要する動作や運動、頑張らせてしまう動作や運動指導を行っているという現実問題があります。

その原因となっているのは、セラピストの考えている、思っている動作や運動の『枠』に、目の前の相手を当てはめようとしているからです。

・歩行動作とは〇〇なものである
・歩行動作の立脚中期に必要なことは〇〇である
・駆動力を得るためには、〇〇をする必要がある

など・・・

書き出すといくつも出てくると思いますが、セラピスト個々に持っている先入観や思い込み。

それを目の前の相手に押し付けているだけなのです。

 

セラピストの思っている『型』通りに “コト” が運ばないと困るわけです。

ゆえに、『型』にはめ込もうとする。

どうにかして、『型』にはめ込もうとする。


このような一方通行な関係性しか構築できないのです。

だから、良くならない。

パフォーマンスが上がらない、ということになるのです。

 

重要なことは、目の前の相手の身体状態だけではなく、精神的な側面も踏まえて、どのように動作を指導していくのか?

そこが重要となってくるのです。


『型』にはめ込むことがリハではないのです。


目の前の相手を、いかに重力場という環境に調和させていくのか。

そのために、必要な要素を獲得させていくこと。

それができないことには、相手のパフォーマンスが上がることはないでしょう。

 

心理的なブレーキに対処できていますか?


ブレーキ成分を減らすこと。

これは心理的な問題による影響が大きいですよね。


もちろん、心理的な問題と “カラダづかい” には深い関連性があります。

ただ、動作や運動を指導するだけでは、あなたの引き出したい動作や運動を体現できないのです。

 

歩行動作というのは、重心移動を伴います。

重心移動を伴う、ということは転倒の危険性が高まる、ということになります。

転倒する、というのは場合によっては、生命の危機に直結する問題です。

ゆえに、重心が移動するということに不安や恐怖を伴うのです。

 

より高いパフォーマンスを引き出そうと思ったら、心理的な問題である不安や恐怖を取り除いてあげる必要があります。

 

 

あなたの指導する動作や運動を体現することに不安や恐怖を感じる。

なぜ、不安や恐怖を感じるのか?

どういったところに不安や恐怖を感じるのか?

そこを汲み取る感性が必要なのです。

 

ただ、あなたの頭の中にある『型』を押し付ける関係性では、あなたの指導するものは受け入れてもらえないのです。

あなた自身を拒絶されているのですから、それを受け入れることはないのです。

 

つまり、いかに信頼関係を構築することができるのか?

そこにあなたの意識を向けなければいけません。

 

あなたのかける言葉、あなたの立ち振る舞い、あなたの心理状態、あなたの接触。

こういったものは、抽象度を上げると “情報” です。

あなたが、目の前の相手に与えている “情報” です。

その “情報” に対して、相手が不安や恐怖という反応を現しているのです。

 

言語でのコミュニケーション、非言語でのコミュニケーション。

信頼関係の構築には、コミュニケーション能力が欠かせないということですね。

信頼関係の構築をなし得ることができてこそ、相手が抱く不安や恐怖を取り除くことができるのです。

 

 

心理的なブレーキ。

これは、大きな問題です。

この問題を解消することができてこそ、はじめて “カラダづかい” に集中できるようになるのです。

 

不安や恐怖を感じている。

不安や恐怖を抱いている。

 

そのような状態で、『カラダをこう動かしましょう!』、『カラダをこの状態にしましょう!』と言ったところで、その声は相手には届いていません。

相手は、転倒したくないがために、転倒しないというタスクに対して全神経を集中してしまっているのです。

 

そういうシーンを体験したことはありませんか?

または、他のセラピストのリハを見ていて感じませんか?

こういった状況に陥っていることが、少なくないと思います。

 

 

心理的な側面でいうと、不安や恐怖を取り除いてあげること。

そこに具体的な方法はありません。

 

目の前の相手に対してだけ、具体的な方法というものが存在する。

万人に共通する、不安や恐怖を取り除くための方法、というものが存在するわけではないのです。

個々に対して、存在するのです。


そこを汲み取れないといけません。


対話力なのです。コミュニケーション能力なのです。

あなたと関係する、目の前の相手との関係性において信頼関係を構築し、その上で “安心感” を与えることができる存在とならなければいけないのです。


安心感があれば、相手も新たなことに挑戦することができる。

転倒への不安と恐怖を解消できないうちは、自分の内側に意識が閉じこもった状態から抜け出すことはできないのです。

ゆえに、世界を広げることができない。

 

それはつまり、バランスを崩せない、ということです。

バランスを崩せないがゆえに、その場、立位の支持基底面内から空間移動をすることができない、ということになります。

 

 

動物の本能的な反応として、恐怖を感じると身動きをとらない、という反応があります。

その場から動こうとしないのです。

安心感を感じられないことには、動かないのです。動けないのです。


じっとしていることが、安心感を得るための最適な方法だからです。

動いて、事態を悪くするよりも、じっとしていた方が安心感を得られる。

だから、動かないという選択をするのです。


そのような状態に陥っているときに、何か動作や運動を指導するというのは、無意味です。

何も指示入力できないし、指示が入力されても、それができるような状態ではないのですから。

 

要するに、できないことをやらそうとしている。

そのことに気づけない “痛い” セラピストが少なくないのです。

できないことをやらそうとする。

 

そういうことをやってしまうと、より関係性は悪化します。

その結果どうなるのかというと、あなたとのリハの時間を苦痛に感じる。

意欲の低下につながるのです。

怖いことをやらされる。

自分ができないことを自覚する。

 

そんな状態で、どうやってパフォーマンスが上がるというのでしょうか?

本当に、こういったことは少なくないのです。

 

 

目の前の相手の可能性や能力が引き出されるための “場” 。

それを、あなたが創り出す必要があるのです。


そのために、『信頼関係の構築』が欠かせないということです。

安心感を与えることができる能力が欠かせないということです。

 

あなたは、安心感を提供できる存在ですか?

そこを自分自身に問いかけてみて下さい

 

身体的なブレーキ成分となるもの


先ほどまでは、心理的な側面におけるブレーキ成分となるものについて話をお伝えしてきました。

では、身体的なブレーキ成分となるものは何なのか?

そのことについて話をお伝えしたいと思います。

 

歩行動作におけるブレーキ成分となるもの。

その代表は、大腿直筋です。

 

支持脚となっている下肢が、立脚中期から後期にかけて股関節の伸展が起こった後、その下肢が股関節、膝関節の屈曲を伴って前方に引き出されます。

この運動を主導する筋肉は腸腰筋なのです。

しかしながら、ほとんどの人は大腿直筋を使ってしまっている。


大腿直筋は膝関節を伸展する筋肉です。

ゆえに、大腿直筋を使ってしまうと股関節の屈曲はできても、膝関節の伸展を伴ってしまうので、十分に下肢を前方に引き出すことができないのです。

つまり、足尖が地面に引っかかってしまうことになってしまうわけです。

 

腸腰筋を使って下肢を前方に引き出すことができるようになると、膝関節の伸展を伴わないので、足尖が地面に引っかかるこという問題を解決することができるのです。

つまり、転倒のリスクを減らすことができる、ということですね。

さらに、大腿直筋を使ってしまうことのデメリットとしてあるのは、足底面が接地後、支持脚となる下肢に体重がかかることになります。

ということは、重力に負けないように、体幹部を支える必要があります。

そのときに、膝関節が屈曲しないように伸展する必要がある。

 

大腿直筋は膝関節を伸展する筋肉ですよね。

大腿直筋が収縮すると、膝関節の伸展が起こった際に、体幹が前方へと移動する水平成分を阻害する力を生じさせることになってしまうのです。

大腿直筋が体幹を後方に押し戻す力を生み出してしまう。

 

その結果、前方への体重移動が十分に行えない、という問題が生じてしまうのです。

この腸腰筋と大腿直筋の話は、こちらのブログ記事で詳しく書いていますので、ぜひ読んでみて下さい⬇︎

歩行リハビリにおいて非効率な歩行動作を指導していませんか? icon-external-link 

 

 

次に中臀筋の話をしたいと思います。

この筋肉は、立脚中期の体幹と下肢の安定性に大きく関与する筋肉ですよね?

おそらく運動学では、立脚中期に骨盤が支持脚側に過度に側方移動しない、股関節の内転が起こらないように、骨盤を水平位に保つために働く筋肉です。


トレンデレンブルグ徴候がみられる方が、この中臀筋の筋力低下が原因で起こっている現象である、ということが言われています。


立脚中期における、体幹と骨盤の安定性に関与する筋肉ですが、この筋肉が硬くなってしまっているがために、股関節の滑らかな運動が阻害されてしまっている、という人がほとんどなのです。

これは一般人でも、固まっている人がほとんどです。

 

イメージとして、中臀筋の下に股関節の骨頭があって、中臀筋がゴムバンドだとすると

そのゴムバンドが硬くなってしまっていたら、骨頭の動きは大きく阻害されるということがイメージできると思うのです。

 

股関節は臼状関節ですよね?

人体の関節の中でも、肩関節同様に大きな可動域を持っている関節です。

その骨頭を覆っている筋肉が硬くなってしまっていたら、当然ながら関節の動きは阻害されることになります。

 

ここまでは一般的な知識としての理解でいいと思います。

ここから、セラピストとして視点を高く持って考えて頂きたいことがあります。

問題提起になります。

 

立脚中期における体幹と骨盤の安定性のために、中臀筋を鍛える。

これって、問題を部分的にしか捉えることができていない、ということです。

 

中臀筋の筋力低下が認められる。

そのように判断したとしましょう。

で、その問題に対して、どのような解決策を見い出すのか?

 

よく見かける方法としては、側臥位や背臥位で、股関節を外転させて中臀筋の筋力強化を図っている。

『はい?』って思いませんか?

このような中臀筋の筋力強化方法は、適切なのでしょうか?

 

まず問題としてあるのは、足底面が地面に接地していないOKC(オープン・キネティック・チェーン)の状態で中臀筋に徒手的抵抗をかけて、中臀筋を鍛える。

それは、実際の動作の局面において筋収縮の様式が異なっている ということに気づかなければいけない。

 

筋肉の収縮様式が異なっている、ということは実用性がないということですね。

意味がないことをやらせている。

で、逆に中臀筋の緊張を生み出してしまっているということになるのです。

 

このことに気づいていない。

 

中臀筋を立脚中期における筋肉の収縮様式と同じ環境設定をした上で鍛える、というのであれば、それは有効な方法でしょう。

しかしながら、そういったことを考えることができないから、意味のないことを頑張ってやらせてしまっている。

その結果、ブレーキ成分を増強してしまっているのです。

 

中臀筋の立脚中期における活動は、持続的な収縮ではありません。

セラピストが歩行動作の一部分を切り取って、その切り取った局面の外枠としてのカタチを整えようとしている。

そのことに問題があるのです。

 

 

動作というのは、流動的なものです。

文章でいうと、前後の文脈があって成り立っているものです。

なのに、部分だけを切り取って、切り取った部分だけをみて、その外枠としてのカタチを整えようとしている。

ナンセンスとしか言いようがありません。

 

本当に中臀筋だけの問題なのでしょうか?

中臀筋だけで、体幹を制御できるとは思えません。

 

体幹筋群との関係性はどうなっているのか?

中臀筋と筋連結がある、他の筋肉との協調性はあるのか?

空間認識はどうなっているのか?
(空間をどのように認識していて、その空間でどのようなカラダづかいをしているのか)

 

このように、様々なことを考えなければいけません。

部分だけではなく、全体との関連性をみなければいけない、ということです。

 

 

部分と全体

 

この視点でモノゴトを捉える必要があるのです。


ほとんどの場合、部分だけの問題で起こっていることはありません。

必ず、他との関連性の中で、生じている問題なのです。

そこを捉えることができないといけないのです。

でないと、いくら部分的な問題だけを解決しようとしても難しいのです。

 

部分的な問題をできたとしても、他にしわ寄せが行ってしまうのです。

本質的な問題解決ができないと、結局は新たな問題を生み出してしまうことになる。

なので、常に部分と全体の両面からモノゴトを捉えていく必要があるのです。

 

あなた自身が中臀筋の筋力低下が問題だと捉えているなら、それがなぜ起こっているのか?

そこを突き止めなければいけないということです。

ただ、筋力低下があるから、その筋肉だけに着目して鍛えたところで、それは問題の解決にはならないのです。

よりパフォーマンスを低下させてしまうことになるかもしれないのです。

 

中臀筋を鍛えることにより、筋緊張を高めてしまった結果、ブレーキ成分を生じさせてしまう。

そうならないようにしましょう。

 

 

中臀筋の緊張が高い状態をつくりだしてしまうと、どういったことが問題になるのか、ということは理解できますよね?

理解不足だとしたらマズいので、念のために説明しておきます。


歩行動作というのは、水平方向への移動運動 です。

体幹を水平に移動していくという運動と言い換えることができると思います。

 

これを踏まえると、人体の関節の中でも自由度が高く、体幹を前方に移動させる役割を担う関節としてあるのが、股関節になりますよね。

つまり、股関節の伸展が十分に起これば、体幹を前方に移動させることが可能となる、ということです。

股関節の伸展がいかに重要なのか、ということについては、過去記事で書きました。

 

詳細は、こちらのブログを読んでみて下さい⬇︎

歩行リハビリにおいて非効率な歩行動作を指導していませんか?  icon-external-link 

 

歩行動作において、股関節の伸展が重要な要素となる。

ということは、股関節の運動を妨げる要素が、ブレーキ成分となってしまうということです。

中臀筋の緊張が高いと、大腿骨頭を締め付けるような働きをしてしまうことにより、股関節の滑らかな運動を妨げてしまうことになるわけです。

 

なので、中臀筋を鍛えることにより、筋緊張を高めてしまうことはパフォーマンスが下がるということです。

前方への移動成分にブレーキをかけてしまう働きをしてしまう、ということです。

 

中臀筋というのは、歩行動作の中で持続的に収縮している必要はない筋肉ですよね?

立脚中期の一部分で、体幹と骨盤の安定性のために、必要なときに、必要なタイミングで働いてくれれば良いはずです。

だとしたら、中臀筋だけに着目して、それだけに特化して鍛えるというのは、本当に意味があるのでしょうか?

他の筋肉との関連性、協調性をもった活動の仕方を学習させる、ということの方が多いに意義があると思いませんか?

 

そのような発想をもって、動作の局面を切り取るなら良いとは思いますが、部分的な問題としてしか捉えられないのであれば、意味のないことをやらせてしまっているとしか思えません。

 

 

次に『足部の問題』について考えてみたいと思います。

ブレーキ成分を生み出しているものとして、足部の問題というものがあります。

具体的にいうと、足趾や母趾球で地面を踏ん張ってしまう動きです。


このような働きをしてしまうと、それは前方への体重移動を妨げる成分を生み出してしまうのです。

これらの問題は、大腿直筋の緊張という問題と関連して起こるものです。

大腿直筋の緊張を生じさせてしまう人は、足趾や母趾球に力が入ってしまう傾向が強いのです。

 

前方への体重移動に対して、恐怖心を抱いてしまう人は、なるべく前方への移動を起こしたくない。

そういった心理があるので、前方への移動に対してブレーキをかけてしまうのです。

そのときに、足趾や母趾球で地面を踏ん張ったり、大腿直筋を緊張させてしまう、という “カラダづかい” をしているのです。

 

大腿直筋のところで書きましたが、足底接地してから、支持脚となる膝関節の屈曲が起こらないように収縮します。

そのときに体幹を後方へ押し戻す力を生み出してしまう、ということを書きました。

体幹が後方に押し戻されると、前方への移動成分が減少します。

それでは体幹の前方への移動が不十分なので、それを補うために足関節の底屈を生じさせることで、峠越えをするように、体幹を移動させようとします。

そのときに、足趾や母趾球に力が入ってしまうのです。

 

足趾や母趾球で力みが、大腿直筋の緊張と、腰背筋の緊張をも生み出してしまうという関連性もあるので、こうした一連の流れにより、よりブレーキ成分を強化してしまうことになるのです。

足部はできるだけ “ゆるむ” 必要があります。

それは 足関節の背屈角度が確保できないから です。

 

股関節の伸展が、体幹を前方に移動するためには欠かせない重要な要素である、ということはお伝えしました。

股関節の伸展が起こるということは、膝関節は伸展に伴って足関節の背屈角度が必要になります。

 

股関節の伸展を、より活かしたカタチで発揮しようと思ったら、踵が重要になります。

踵をいかに長く、接地し続けることができるのか。

これが、股関節の伸展を十分に引き出すために欠かせない重要な要素なのです。

 

 

足趾や母趾球で踏ん張ってしまうと、足関節の背屈が阻害されてしまうことになります。

ということは、早い段階で踵が地面から離れてしまうことになる。


踵が地面から浮いてしまうと、股関節の伸展が十分に引き出せない、ということになるのです。

これでは大きなエネルギーロスですよね。

このような状態をつくり出してはいけないのです。

 

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踵で推進力を生み出す


ここまでは、歩行動作におけるブレーキ成分をいかに減らすことが重要なことなのか、ということについてお話ししてきました。

ブレーキ成分を減らすことは、大きな課題としてあるのですが、

それと同時に、アクセル成分を増やすことも重要な要素となります。
アクセル成分を増やす。

歩行動作におけるアクセル成分となるものは何か?


筋肉の活動という側面からいうと、ハムストリングスの活動を高める、ということになります。

 

ハムストリングスは二関節筋ですよね。

股関節と膝関節の二関節を跨いで走行している筋肉です。

この筋肉をいかに働かせることができるのか?

そこが重要となってきます。

 

しかしながら、注意点があります。

それは何かというと、ハムストリングスを膝関節周囲で働かせてはいけない、ということです。


アクセル成分を生み出すためには、股関節周囲で活動させることが重要 なのです。

このハムストリングスを股関節周囲で働かせる、ということが難しいのです。

 

アクセル成分を生み出したいからといって、やみくもにハムストリングスの筋力強化を図ろうとするのは、何も考えていないセラピストです。

重要なのは、膝関節周囲でハムストリングスを活動させるのではなく、股関節周囲で働かせることなのです。

ただハムストリングスを鍛えようとすると、膝関節周囲でしか使えない状態に陥ってしまいます。

 

というのも、ハムストリングスを意識的に使おうと思ったら、股関節周囲よりも、膝関節周囲の方が意識しやすいという特性があるからです。

つまり、股関節に近い部分の意識が乏しいがために、使われにくいということなのです。

ゆえに、股関節周囲で使えるように、いかに意識を高めていけるのかということが重要になってくるのです。

 

歩行動作における水平方向への移動成分を生み出すのは、股関節の伸展です。

その股関節の伸展運動を主導するのが、ハムストリングスということなのです。

ゆえに、アクセル筋と呼ばれているわけです。

 

ハムストリングスを股関節周囲で働かせること。

これが欠かせない重要な要素となってきます。

 

そのために必要なことは、踵を使うということですね。

踵を使うというのは、具体的にいうと踵で地面を押し出すということです。

踵が立脚期においてできるだけ長い間地面に接地している必要がある。


この前提条件がないことには、股関節周囲でハムストリングスを働かせることができないのです。

つまり、股関節の伸展が十分に起こらないということになるのです。

 

 

多くの人は、歩行動作において

地面を “つま先” で蹴って進むものである、という思い込みや先入観を持っています。

しかしながら、それは思い込みであり、間違った先入観なのです。

どういうことなのか、説明しましょう。

つま先ではなく、踵で地面を押すことができることのメリットについての話です。

以下転載です⬇︎

 

踵は足の、さらには身体の一番後方についています。

したがって、身体の重心から垂直に下ろした線(重心落下線)と地面が接する点(重心落下点)と、地面に身体を前進させる力を伝える足裏の点(支持点、あるいは抗力点)との距離が長く取れるというメリットがあります。


人が前に進むためには、この支持点が重心落下点よりも後ろになければスムーズに進むことはできません。

逆につま先を支持点にして前進しようとすると、ニュートラルな立ち方で踵寄りにある重心落下点をつま先より前に移動させてからではないと前進することができません。

踵を使うことで生まれるもうひとつのプラスのファクターは、慣性との係わり合いです。

人の身体を含め地球上の物体はすべて慣性の法則に支配されています。

したがって停止している物体はすぐには動き出せません(停止慣性)。

止まっている物体が動き出すためには、大きな力が必要で、いきなりはやいスピードでは動き出せないのです。

だから車の場合は、ローギアで力強く、されど比較的ゆっくりと発進するわけです。

そして動き始めれば、今度は慣性の法則で逆に止まりにくくなるので、大きな力は不要になり、ローギアでは力が余ってスピードが出ないのでシフトアップしていきます。


踵を支持点にするというのは、まさにこのローギアでスタートする状態と同じなのです。

足の骨格構造をみれば一目瞭然ですが、足裏で一番大きな骨は、踵の踵骨です。

つまりスピードは遅くとも一番巨大な力を生み出せるのは、一番大きくて太い、この踵骨であり、人は踵を支持点にしたときに、初期動作として最大の前進力を発揮することができるのです。

このようにモーメントの点でも有利で、骨格学的にも一番巨大な力を出すのに向いている踵を支持点にして始動する身体の使い方を『踵推進』といいます。

 

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※重心落下点と支持点の関係性については、以下の図を参照して下さい⬇︎



以上のことを踏まえ、“つま先” で地面を蹴るというカラダづかい、

つま先側を支持点にするカラダづかいをするというのは、前方への移動ではなく、後方への移動を行う際には適切なカラダづかいといえるでしょう。

 

先ほど転載した話の中で、重心落下という言葉が出てきました。

重心落下点よりも後方に支持点があること。

そして、重心落下線と支持点の距離が開いているほど、モーメントアームをかせぐことができるので、重心落下点を移動させる必要がないために、動き始めがスムーズに行えるということになります。

 

この話と、ハムストリングスの働きをつなげてみましょう。

 

重心落下点の後方に支持点がある。

この状態をつくり出そうと思ったら、体幹の位置と踵の位置関係が重要になってくる、ということが理解できると思います。

ブレーキをかけながら歩行動作を行っている人は、体幹よりも前方に軸足となる下肢が位置している。

ということは、逆の関係性になってしまいます。

 

体幹よりも支持脚が前方に位置している。

そのような状態だと、大腿直筋が収縮して膝関節を伸展しようとしているために、当然ながら関連して足関節の底屈が起こっています。

足関節の背屈が阻害されるために、前方への体重移動が妨げられるのです。


そのような状態で、前方へと体幹を移動させようと思ったら、大腿直筋や足関節を底屈する筋肉の収縮によって生み出される、体幹を後方を押し戻す力に打ち勝つ力を、どこかで生み出す必要があります。

それがつま先で地面を蹴るということになります。

 

水平方向のベクトルが減少した分、垂直方向にベクトルが変化し、峠越えをするように体幹を前方に移動させるというカラダづかいとなってしまいます。

峠越えを果たせることで、はじめて支持点となっているつま先よりも前方に重心落下点が位置することになります。


しかしながら、つま先で地面を蹴るというカラダづかいをしてしまっている人は踵を使うことができないがために、股関節の伸展が十分に起こらないのです。

それは、立脚中期から後期が起こらない、ということでもあります。

水平移動成分の少ない、エネルギー効率の悪い歩行動作となってしまうのです。


水平成分の移動を稼げない分、垂直方向の移動を優位に行うカラダづかいとなってしまっている。

水平移動を生み出すのは、股関節伸展であり、その主導筋となるハムストリングスなのです。


つま先で地面を蹴るというカラダづかいは、骨格の構造をみても、細い骨ばかりですよね?

そして、そこについている筋肉も細いものばかりです。

ということは、大きな力を生み出せない、ということなのです。


大きな力を出せないところで、頑張って駆動力を得ようとしている。

本当に非効率なカラダづかいとしかいいようがありません。


さらに、つま先で地面を蹴るというカラダづかいをしてしまうと、ハムストリングスの活動が起こらない。

大腿直筋の活動が優位に働いてしまうことになるのです。

そのような関連性もあるのです。

 

身体に備わっている構造を、きちんと理解して使うこと。

それが重要ですよね。

それができないから、痛みが起こったり、非効率なカラダづかいとなってしまうのです。

 

 

踵で推進力を得るために必要なこと。

そのためには、重心落下点と支持点の関係性からいうと、体幹と踵の位置関係が重要になってきます。

つまり、体幹よりも前方に下肢が位置してはいけないということです。


このことから考えて欲しいのは、『脚を前に降り出して!』という歩行動作指導を行うことは問題があるということです。

前に振り出すから、体幹よりも前方に下肢が位置してしまうことになるのです。

 

エネルギー効率の良い歩行動作は、体幹が先行して前方に移動し、体幹の前方移動に伴って下肢が引き出される、という歩行動作です。

踵の位置に対して、重心落下点が前方に位置している。

そのような状態をつくり出すことが重要になってくるのです。

 

踵が支持点となっていて、足関節の背屈に制限がなければ体幹の前方への移動を妨げる成分はなくなります。

ということは、体幹が前下方に自然落下しようという動きが生まれます。


その動きを感じて、タイミングよく踵で地面を押し続けることができれば、股関節の伸展が起こって、前下方への自然落下ではなく、体幹の前方への水平移動が可能となるのです。

頑張って地面を蹴って前方へ進むという動きではなく、重力と調和した慣性の法則を活かしたカラダづかいが可能となる。

 

そのためには、重心落下点と支持点を感じ取れる必要があります。

きちんと、この2点を感じ取り、コントロールできること。

こういった能力が欠かせないのです。

 

私たち人間が立位の状態では、カラダの重心と地球の中心とを結ぶ線が生じています。

その線を『重心落下線』といい、重心落下線が地面と交わる点を『重心落下点』ということでしたよね。


人間が移動する際には、この重心落下点に対して、抗力を加える足の位置がより後方にないと、身体を前に進めることができません。

重心落下点と抗力を加える足の支持点との間に差が生まれ、その長さがモーメントとなって身体が前に進むのです。

つまり、人間の移動というものは、重心落下点と支持点の差によるモーメントをつくり出しながら、移動を行っているというわけです。


セラピスト自身が、このようなカラダづかいができないことには、関係する患者さんや利用者さんには指導することができません。

頭での理解、知識での理解だけでは、適切な指導ができないのです。

 

踵をより使える状態になるために必要なこと


踵をより使える状態になるために必要なことは何でしょうか?

それは、足関節がフリーな状態、

具体的にいうと距骨を中心に車輪になったような身体意識が形成される必要がある、ということです。

 

そのような状態をつくり出すことができれば、より踵を使える状態になるのです。

では、距骨を中心に車輪になったような身体意識とは何でしょうか?

以下転載⬇︎

 


『車さばき』

下半身に深いゆるみをかけ、溶解溶融した下半身を身につけたうえで実際に歩いてみると、足の上部にある距骨を中心に、その上にのっている脛骨、足趾につながる中足骨、そして足裏から踵骨までが、距骨を中心にした車輪となったような感じがする

これを体現するには、欠くことのできない重要なコツが一つあります。

それは、中足骨から足の指先までが、それぞれパラパラになるほど力の抜けた “無力の状態” になること。

歩いたり、走ったりするとき、現代人は通常つま先側、すなわち足の指の付け根に力を入れ、そこで体重を支えて地面を蹴って身体を前進させようとしますが、そうした身体遣いをしてしまうと、それが距骨を中心とした車の回転を止める “輪止め” になってしまうのです。

ご存知のとおり、輪止めというのは、自動車を整備したり、坂道などに長時間駐車するときにタイヤに噛ませる道具ですが、つま先に力を入れてしまうと、それがちょうど強力な輪止めの働きをしてしまうのです。

このため、現代人が積極的に利用しているつま先での出力を逆に大幅に無力化し、ほとんどの動作局面で使わないようにしない限り「車さばき」は体現できません。

逆に、つま先の脱力化・無力化に成功すれば、とたんに距骨を中心とした車輪が回り出すのです。

また、肝心なのは、車が回転し始めた結果、つま先と入れ替わるように踵が活躍する幅が大きくなるということです。

すなわち、踵で進む「踵推進」の状態になるのです。

ヒトは地上最速の動物だった icon-book 

 

 

歩行動作の前に、立位で獲得すべき要素がある


歩行動作に移行する前に、きちんと “立つ” ことができているのか、という問題があります。

きちんと “立つ” というのは、どういった状態のことをいうのでしょうか?


歩行は目に見えて、明らかな重心移動がみられる運動です。

物理的な存在としての身体の移動が目に見えるものです。


その一方で、立位というのは目に見えて重心移動をしているようにはみえない。

静止しているように見えるということです。

しかしながら、閉眼した状態で立ってみると、ゆらゆらと重心が止まることなく、移動し続けていることを感じることができるでしょう。

目には見えないけど、確かに重心が常に移動し続けているのです。

つまり、運動しているのです。

 

何が運動しているのかというと

それは、重心線が絶えず移動し続けているということです。

立位の支持基底面内を重心線が移動し続けている。


支持基底面から、重心線が前方にはみ出ることで、はじめて歩行になるのです。


立位というのは、支持基底面内をはみ出ることなく、移動し続けている状態です。

視覚的には捉えづらいけれども、重心線が移動し続けているのです。

 

歩行動作において、高いパフォーマンスを引き出そうと思ったら、この重心線の移動というものを考える必要があります。

重心線のコントロール。


歩行する人が、重心線の存在をきちんと認識できること。

認識できた上で、重心線のコントロールができるようになること。

それが欠かせない要素となるでしょう。

 

重心線の運動ということを考える際に、知っておくべき重要なことがあります。

それは何かというと、『フルクラムシフト』という概念です。


はじめて目にする言葉かもしれません。

なので、『フルクラムシフト』について、解説をしておきますね。

以下、転載⬇︎

 

『フルクラムシフト』

人間が立っているときに起きている重心線と支持線の運動を言います。英語でフルクラムは “支持線” 、シフトは “移動する” の意味です。

重心線とは重力ベクトルに沿って形成された身体意識、支持線とは効力ベクトルに沿って形成された身体意識です。

物理学では人間は立っているとき、重力ベクトルと効力ベクトルが一致していると説明します。

しかし、重力ベクトルも効力ベクトルも単なる物理学的因子です。

ですから、人間がそれらを身体の制御に使うには、物理学的因子を人間の認知制御系に転換するシステムが必要で、それがこの場合、重心線であり、支持線なのです。

重心線は支持線に跳ね返されるように支持線から逃げ、支持線はその重心線の先回りをして重心線の移動を抑え込むという運動を、人は立っているときにし続けているのです。

なお、フルクラムシフトの程度は、その人がどれくらい脱力して立っているかによって異なってきます。

 

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立位でどれだけ “ゆるむ” ことができるのか


立位では重心線と支持線の運動が生じている。

そのことをお伝えしました。


この両者の運動を感じ取るには、あなた自身のカラダが十分にゆるんでいる必要があります。

筋肉に過剰な緊張がある状態だと、両者の存在を認識することができません。


筋肉に過剰な緊張があると、両者の運動が起こらないのです。

ゆるんだカラダをしている人ほど、クタ〜っとした、柔らかさを感じる姿勢であったり、動作を行います。


それはカラダに過剰な緊張がない状態だからです。

姿勢保持や動作において、筋肉の緊張を過剰に高めることなく、骨の支持性を活かしたカラダづかいができる人だからです。


ゆるんでいる人ほど、ゆらゆらとした印象を受けると思います。

その一方で、カラダの緊張が高い人ほど、硬い印象を受けると思います。


カラダがゆるめば、重力を感じられるようになります。

重力を感じられるということは、骨の重みを感じるということです。

骨の重みを感じられるということは、重力に導かれて地球の中心を感じられるということです。


地球の中心から立ち上がる線に、自分自身のカラダの中心、つまり重心線を沿わせていく。

しかしながら、重心線を地球の中心から垂直に立ち上がる線に、完全には一致し続けることはできません。


ゆるんでいる状態だと、絶えず地球の中心を捉え続けようとする働きが起こり続けることになります。

それが、この重力場という環境の中で、もっともエネルギー効率の良い状態だからです。


楽に、快適に立つことができる。

自由度ある状態 ですね。


筋肉の緊張でカラダを固めていないから、自由にどの方向にも動くことができる。

いちいちブレーキを外してから動き出そうとしなくても、常にゆるんで、どの方向にも縛られていないのですから、自由なのです。

筋肉で頑張って動き出そうとしなくても、重力を活かして、自然に移動を開始することができるようになる。


もちろん、動き出しの際には筋肉は使いますが、それは筋肉の緊張が起点となって動き出すというカラダづかいではなく、ゆるんでいるから自然に行きたい方向に重力落下力を使って、動き始めのきっかけをつくり出せるということなのです。


重力に導かれて、慣性の法則で動き始める。

そこに、筋肉の働きを加えて、骨・関節を動かしていくことになるのです。

そういったカラダづかいの獲得を目指す必要があります。

 

予備動作なく、スムーズに動き出せる。

 

そして、動き出してからも、適切なタイミングで、適切な緊張をもって、動作を遂行できる。

筋肉の緊張も、全身を協調的に使うことができる状態が必要になることは言うまでもありません。

 

歩行動作に移行する前段階として、立位で十分に “ゆるんだ” カラダでいられること。

立位の中で、重心線と支持線の運動を感じられるくらいに、過剰な緊張から解放すること。

それが歩行に移行する前段階として、獲得しておくべき重要な要素となります。

 

立位から歩行動作へ移行する際に重要となる運動


立位の状態で、十分に “ゆるむ” こと。

その状態を獲得することができて、はじめて歩行動作へ移行することができると思います。


十分にゆるんだ状態を獲得できていないのに、歩行動作に移行してしまうと、カラダを固めた状態で歩行動作を行ってしまうことになります。

それは、頑張って行う動作になってしまいます。

エネルギー効率の側面からみても、非常に効率の悪い動作となってしまうのです。

それでは実用性の面でも、よろしくない。

 

より高いパフォーマンスを引き出そうと思ったら、“ゆるむ” ということが欠かせないのです。

必要最低限の筋活動で、重力と調和したカラダづかいを獲得すること。

その観点から動作を考えていく必要があるのです。

 

上記したように、立位の状態で十分にゆるんだ状態を獲得すること。

それができるようになると、立位の中で重心線と支持線の運動が感じられるようになります。


この重心線と支持線の関係性をコントロールすること。

それが、高いパフォーマンスを発揮するためには欠かせない重要な要素なのです。

両者の関係性こそが、カラダを移動させることの本質 なのですから。

 

 

立位の状態から動き始めの局面で重要なことは、重心線と支持線とが、地面と交わる点。

重心落下点と支持点。

この2点を明確に感じ取る能力が欠かせません。

この2点を感じることができて、はじめてコントロールすることが可能となるのですから。

 

重心落下点と支持点の関係性をコントロールする能力。

それを身につけることが、高いパフォーマンスを発揮するためには欠かせないのです。

重心落下点と支持点の関係性について、知っておくべき知識があります。

以下、転載⬇︎

 

重心落下点と支持点をコントロールする能力は、人によって大きな差があります。

簡単に言えば、動き始めの際、瞬時に重心落下点と支持点のギャップを広げられる人と、なかなか広げられない人がいる。

瞬時に広げられれば、そこに大きなモーメントが生まれるから、自分が行きたい方向へ早くかつ速く移動できる。

それができない人はモーメントが生まれにくい。

だから動き出すのに時間がかかる。

身体運動にとってきわめて重要な動き出しの能力の差異は、この重心落下点と支持点の操作能力に負うところが大きいのです。

重心落下点と支持点を操作するには、その前提として、重心落下点と支持点が身体意識としてどのくらいはっきり形成されているかが問われるわけで、優れた動きをする人ほど、それらが色濃く形成されています。

だからこそ、それらを高度に操作することができるのです。

一方、重心落下点、支持点が身体意識として十分に形成されていない人は、当然のことながらそれらを操作できない。

もしくは操作性が極端に落ちる。

その結果、重心落下点と支持点とのギャップを瞬時に作り出せず、動き出しがノロノロしてしまうのです。

センター・体軸・正中線ー自分の中の天才を呼びさます icon-book 

 

このように、重心落下点と支持点をいかに広げることができるのか。


よりギャップを広げることができると、より動き出しに力を必要としなくなるのです。

自然落下の力を使うことができるからですよね。

 

動き出しにもっとも大きな力を必要とします。

そこに、大きな筋力を必要とせずに動き始めることができるのですから、快適ですよね?

頑張って動こうとしなくても大丈夫なのですから。

 

“力み” がどうしても抜けない人は、動き始めの際にブレーキをかけてしまっている部分の緊張を抜かないことには、動き始めることができません。


なぜ緊張してブレーキをかけてしまっているのかというと、移動するということが怖いからですよね。

バランスが崩れることが怖いのです。

だから、筋肉の緊張でカラダを固めてしまっている。

 

 

どうしてもカラダの緊張が抜けにくい人って少なくありません。

『力を抜いて下さい!』と言っても、力を抜けない。

力の抜き方が分からない。

そもそも力が入っていることにすら気づけない人もいるのですから。

 

そういった人が、立位の状態から動き出そうと思ったら、心理的なブレーキを外せないことには、筋肉の緊張によるブレーキを外すことができないのです。


ブレーキを外すことは、そう簡単なことではありません。

ブレーキをかけながらも、そのブレーキを徐々に弱めていきながら、アクセルを踏んでいく。

この矛盾した状態のカラダづかいをしている限り、高いパフォーマンスを発揮することはできないのです。


まずは、ブレーキ成分となっているものを外すこと。

それなくしては、重力からの支配状態という関係性からは抜け出すことができない。

 

エネルギー効率の良い動作は、重力を活かしたカラダづかい です。

それは先ほど書いたように、自然落下力を活かす。

慣性の法則を活かす。

そういったことにつながるのです。

 

重力を活かすためには、重力を感じられるカラダを取り戻す 必要があります。

そのためには “ゆるむ” こと。

ゆるむから、骨の重みを感じることができるようになり、重みという刺激により、重力を認識することができるのです。

 

『軸』を身につけることが “すべて” である


ここまで、歩行のパフォーマンスを最大限に引き出すために必要な要素について、様々な話をお伝えしてきました。

いくつも重要な要素がありましたよね。

 

しかしながら、一つ一つの要素を身につけるために、それぞれを個別に向き合うということは非常に遠回りの道でしかありません。

今回のブログでお伝えしてきた様々な要素というのは、抽象度を上げると(視点を上げると)『軸』を身につける、ということに集約されるのです。

 

『軸』を身につけることができれば、“ゆるむ” ことができる。

“ゆるむ” という前提があって、『軸』が形成されます。

ゆるまないことには『軸』は身につけることはできないのです。

 

あらゆる動作のブレーキ成分となる筋肉の緊張は、『軸』がないがゆえに生じている筋肉の過剰な緊張なのです。

『軸』というのは、重心線でもあります。

重心線を感じ取ることができるというのは、地球の中心を捉えることができる、ということでもあります。

 

この重力場という環境の中で、より調和した状態を構築するには地球の中心を捉える能力が欠かせません。

そして、歩行動作など、身体の移動を伴う運動においても地球の中心を的確に捉えることができないと、エネルギー効率の観点から見ても、非常にエネルギーロスの大きな動きとなってしまうのです。

地球の中心を的確に捉えることができるから、地面に対しての推進力を得るための効力を的確に得ることができる。

そのことはイメージしてみると理解できると思います。

 

そして、腸腰筋やハムストリングスが使えるカラダというのも、『軸』を身につける上では欠かせない、『軸』を形成するために必要な筋肉です。

そして、腸腰筋とハムストリングスは拮抗関係にあります。

 

このように

“ゆるむ” ためにも

腸腰筋とハムストリングスを使えるカラダを手に入れるためにも

重心線(重心落下点)や支持線(支持点)を感じ取るにも

股関節の伸展を十分に起こすためにも

踵を使えるようになるためにも

 

結局は “ゆるんだカラダ” から生まれる『軸』を身につけることが必要となるのです。

 

つまり、今回お伝えしてきたことは『軸』を身につけることが必須であるということなのです。

『軸』については、こちらのブログ記事で詳しく書いていますので、ぜひ読んでみて下さい⬇︎

 あなたが『軸』を学ぶなら、迷わずこの一冊を読もう! icon-external-link 

 

 

まとめ


今回のブログでは、歩行動作におけるパフォーマンスを最大限に引き出すための方法について、様々な観点から話をお伝えしてきました。

毎回書いていますが、重要なことは知識や情報だけでとどめておいても、それは使えない情報でしかありません。


あなた自身のカラダで理解し、腑に落とすこと。

それが欠かせないことですね。


あなた自身が、体現できること。

あなた自身が体現できてはじめて、それをあなたと関係する相手に伝えることができるのです。


あなたのもっているもの以上のものは、相手に伝えることはできない。

そこを理解する必要があるでしょう。


あなた自身の姿勢や動作がお粗末なものであれば、あなたと関係する相手に還元できないのです。

相手の可能性や能力を引き出すことができない。

 

あなた自身の姿勢や動作がお粗末なものであれば、あなたと関係する相手からすると説得力に欠けますよね?

様々な指示をしても、あなた自身が体現できていない、手本を示すことができないのに

どうして相手は、あなたの言うことを信用することができるのでしょうか?


信頼関係の構築ができないのです。

 

あなた自身のカラダづかい。

それを高めることが重要なのです。


あまりにも、自分自身のカラダに対して無頓着なセラピストが多いと思います。

だから、相手の可能性や能力を引き出せないのです。

何かを学ぶことも重要ですが、まずはあなた自身のカラダづかいを見直してみるところからはじめてみませんか?


ということで、今回のブログは以上になります。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

 

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