筋肉の緊張はどうしたらゆるむのか?ストレッチングの本質を理解し、結果の出せるセラピストになろう!

      2017/01/14

 

どうも、理学療法士の魚住です。

 

私たちセラピストは、関節可動域拡大を図る目的として、臨床の場面において、ストレッチングを用いる機会は少なくないと思います。

しかしながら、ストレッチングの本質を理解していない状態で使っているがために、適切にストレッチングを扱えていないという現状があります。

それは、適切な結果を出すことができない、ということでもあります。

 

今回のブログでは、ストレッチングについて

セラピストとして知っておくべき知識とモノゴトの本質についての話を書き進めていきたいと思います。

 

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ストレッチングとは


ストレッチングについての話を説明する前に、ストレッチとストレッチングの違いについて理解しておきましょう。

ストレッチ( stretch )には、“伸ばす” とか “引っ張る” という意味があります。

ストレッチングは、身体各部の筋肉や腱を引き伸ばすことをいいます。

 

 

・ストレッチングの対象

 icon-hand-o-right 主に『筋肉』であり、関節をできる限り曲げたり、伸ばしたりする動作によって、筋肉をその両端の腱から “引っ張って伸ばす” 行為をストレッチングといいます。

 

・ストレッチングの主な目的

 icon-hand-o-right 筋肉を伸ばすことにより、筋内の循環を促して疲労回復させる。

 icon-hand-o-right 筋肉を伸ばすことによって関節の可動域を拡大すること。

 

 

ストレッチングの種類

ストレッチングには様々な方法があります。

 


・静的ストレッチング(スタティックストレッチング)
・動的ストレッチング
(ダイナミックストレッチング、バリスティックストレッチング)
・PNFストレッチング

 

 

静的ストレッチング


関節可動域の最終可動域で伸ばすものであり、
反動をつけないで静かにゆっくりと行うストレッチング。

 

動的ストレッチング

 

・ダイナミックストレッチング


主導筋の筋力により、その拮抗筋を伸ばす。反動は使わない。

リズミカルな関節の曲げ伸ばしや回旋などを行って、相反性抑制により筋が弛緩し、伸ばされることを期待するもの。
自分自身の力のみでストレッチする点が特徴。

 

・バリスティックストレッチング


準備体操や柔軟体操の一部として従来から行われているもの。

この方法は、反動を使ってリズミカルに動かすことで筋肉や腱を伸ばそうとするために、適切に行えば柔軟性を養う上で十分に効果があるもの。

しかしながら、予期せぬ瞬間的な力が筋肉や腱に働くことがある。

そのために筋肉や腱に損傷を受ける可能性があり、実施には慎重に行う必要がある。

 

PNFストレッチング


伸ばしたい筋肉を事前に収縮させ、脱力後にパートナーによって伸ばしてもらうストレッチング。

PNFストレッチングのテクニックは、最大抵抗に対して筋肉が最大に収縮すると、その後拮抗筋に正常範囲以上の強い反応が引き起こされる “シェリントンの法則” を応用したもの。

分かりやすくいうと、『最大収縮後の弛緩』という特性を利用したストレッチングであるということ。

PNFストレッチングが他のストレッチングと異なる点は、他のストレッチングは単に筋肉を伸ばすことで柔軟性を獲得しようとするものだが、
PNFストレッチングはパートナーの力をかりて柔軟性だけでなく、最大抵抗による最大収縮を用いることで、筋力も同時に高めることができるものである。

 

 

筋肉が伸ばされるということ

 

組織を理解する

ストレッチングとは、筋肉や腱が引き伸ばされるということですが、それはどういったことになっているのでしょうか?

組織という観点でみたときに、どのような機序となっているのか。

そこを理解しておくことが欠かせないでしょう。


組織には、以下のような種類があります⬇︎

1. 筋組織
2. 神経組織
3. 上皮組織
4. 結合組織(骨・血液・腱・靭帯・筋膜)


これらの各組織は、基本的にコラーゲン、エラスチン、基質で構成されています。

 

コラーゲン繊維は強度、エラスチン繊維は弾力性を担っています。

基質は、コラーゲン繊維やエラスチン繊維、筋線維が滑らかにすべるように潤滑剤の役目をしています。
これは、基質の成分としてあるヒアルロン酸が、その役目を担っているものですね。

また、基質を構成している成分として、ヒアルロン酸の他にプロテオグリカンという成分があります。
プロテオグリカンは、衝撃を吸収し、組織が移動するのを助けるという役目があります。

基質の特性として、『チキゾトロピー』という “揺変性” があり、冷たいとジェル状となり、温めると液体状になるという性質があります。

ということは、筋温が低いとジェル状であり、筋温が高くなると液体状になるという特性があるということになります。

ゆえに、ストレッチングを行う際には、筋温を高めた状態で行うことがより効果的にストレッチングを行うための要素である、ということになります。

 

筋組織が伸ばされる機序


筋組織が伸ばされるという機序をみたときに、はじめにエラスチン繊維が伸ばされた後に、コラーゲン繊維が伸ばされるという順序で伸ばされることになります。

エラスチンが伸ばされるために要する時間は30秒、コラーゲンは90秒以上、2、3分の持続的な伸張刺激が必要といわれています。

こういった特性があるために、筋膜リリースという手技では90秒以上、2〜5分持続伸張するということが方法としては言われていますよね?

 

 

ストレッチングに欠かせない生理学的知識

 

・伸張反射
・相反性神経支配
・自己抑制

 

 

伸張反射


筋肉は急激に引き伸されると、逆に収縮しようとする性質があります。

伸張反射は、生理的機構によって起こる防御反射の一つです。
筋肉が急激に引き伸されると、筋肉の中にある筋紡錘という受容器が刺激され、反射的に筋肉を収縮するという現象になります。

こういった特性があるために、反動をつけてストレッチングを行うと伸張反射を誘発してしまうので、筋紡錘を刺激しないように “反動をつけずにゆっくりと” 行うことがいわれているのです。

 

相反性神経支配


主働筋が収縮すると、拮抗筋が弛緩し、リラックスするというような、互いに拮抗しあう筋の活動を抑制するメカニズムのことであり、相反性抑制ともいわれます。

 

自己抑制


筋肉が強い力を発揮すると、筋肉や腱、関節に強い力がかかり、それによる筋断裂などの傷害を防ぐために、ゴルジ腱器官が強い力を感知すると筋力発揮を一時的に抑制するという反射機構を自己抑制(Ib抑制)といいます。

 

 

ストレッチングにより期待できる効果


・筋肉を伸ばすストレッチングにより、筋肉の縦方向への伸びやすさ(縦断的な柔軟性)を向上させることで、関節可動域の拡大を図ることができるとともに、筋肉を触ったときの柔らかさ(筋肉の横断的な柔軟性)が向上する。


・筋肉のこわばりをとり、血液循環を促進することで筋肉のコンディションを改善し、コリや疲労回復を促進する効果も期待できる(筋肉痛の程度を軽減させる)。

 

 

ストレッチングによるデメリット


・ストレッチングは、過度に行うと筋力低下を引き起こす。

静的ストレッチングがその後の発揮筋力、発揮パワーや動的動作でのパフォーマンスを一時的に(数十分程度)低下させる。

  icon-hand-o-right ストレッチングによる筋紡錘の感度の低下が主に関係している

 

筋紡錘は筋肉の長さ情報を感知するセンサーで、このセンサーの感度が低下すると筋肉をより脱力できるようになるが、強い筋収縮を起こしたいときには、これがマイナスに作用する。

 icon-hand-o-right 収縮司令を出す上で必要な情報が得られにくくなる

 

 

・動的動作においてストレッチング直後の筋力低下は顕著にみられる。

・ストレッチングによって結合組織などの弾性が低くなると、それだけ受動的な張力が下がり、発揮できる筋力も低下する。

・ストレッチングによる筋力低下は、一時的な問題に限らない。

・ストレッチングによる筋紡錘の感度低下と結合組織などの弾性の低下は、長期的にも起こる。

・ストレッチングで柔軟性が向上することで、一時的にではなく、本質的に筋力が低下してしまう可能性がある。


icon-hand-o-right 
ストレッチングによる筋力低下の研究報告は、いずれも「3分以上連続してストレッチングを行う」といった極端な方法での結果である

 icon-hand-o-right 実際に現場で行われる10〜20秒程度のストレッチングで、筋力低下が起こる可能性は研究報告ほど高くはない

 icon-hand-o-right ストレッチングによる筋力低下の問題はそれほど過敏になる必要はないが、過度に行うことによるマイナスの効果があることは知っておく必要がある

 

 

・柔軟性向上と筋力低下の関係性を考えた場合、必要以上の柔軟性を求めて過度のストレッチングを行うことには問題がある。

 icon-hand-o-right 極端に柔軟性の高い筋肉を得ることは、筋力の低下を招くことがある

 

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ストレッチングの用い方

 

部分と全体


ここまではストレッチングについて知っておくべき知識についてお伝えしてきました。

しかしながら、知識だけをインプットしても使えるわけではありませんよね。

 

多くのセラピストは、ストレッチングを用いる際に〇〇という筋肉が緊張して硬くなっているから、
それに対して〇〇というストレッチングの手技を用いる、といったような対症療法的な対処しかできていません。

ここまでお伝えしてきたような身体の生理的なメカニズムや特性といったものを元に、セラピスト自身で応用して活かすということができていないのです。

 

 

そのことについて具体例をお話しすると

多くのセラピストがやっていることとして、足関節を背屈させることで下腿後面の筋肉をストレッチングや下肢後面の筋肉を伸張するSLRをやっている光景を目にします。

そういったストレッチングをしている様子を見ていると、ストレッチングを受けている患者さんや利用者さんが苦痛の表情をされていたり、身体を緊張させてしまっていたり、ということが見受けられます。

 

ストレッチングを行うセラピストは、こういった患者さんや利用者さんの反応に対して、無関心なことが多いようです。

患者さんや利用者さんとの対話なしに、ただ手技としてのストレッチングをやることだけに集中してしまっているわけです。

ゆえに一方通行の関係性しか築けていないのです。

これは関係性と呼べるものではありません。

 

 

ストレッチングを受けている患者さんや利用者さんが苦痛の表情を浮かべている。

身体を緊張させている。

そのような状態は、適切にストレッチングを行えていると言えるのでしょうか?

患者さんや利用者さんに防御反応を起こさせている、ということなのですが・・・。

 

防御反応、防御収縮を起こさせてしまっている。

それでは、ストレッチングの効果を適切に発揮させることはできません。

そこに対して、何も思わない、何も感じないセラピストが少なくないのです。

 


セラピスト自身も、考えてリハを行っていない、という現状があると思います。


それがどういうことなのかというと、〇〇という筋肉の緊張が硬くなってしまっている。

その問題に対しては、その〇〇という筋肉を伸張させるための手技としての〇〇を行う、という対処しかできていないのです。

 

これって、あまりにも部分的な視点でしかモノゴトをみることができていないのです。

 

身体に何かしらの問題となる症状がある。

それは、部分だけの問題として起こっている問題ではないですよね?

 

場合によっては、部分的に傷害を受けた結果、その影響により硬くなってしまっているということは実際問題としてはあるでしょう。

しかしながら、多くの場合身体の他の部分との関連性があって、ある部分に問題となる症状が現れている。

そういったことがほとんどなわけです。

 


下腿後面の筋肉が緊張していることにより、足関節背屈の関節可動域が制限されている。

こういった問題があるとすると、多くのセラピストは下腿後面の筋肉をストレッチングする方法を選択するわけです。

 


足関節を他動的に背屈させる方法ですよね?

それが何も悪とか、そういったことを言っているのではありません。

セラピストの視点があまりにも部分的なものに偏ってしまっている。

そういったことが言いたいわけです。


いくら部分的な問題を解決したとしても、それは対症療法でしかなく、あくまで身体全体との関連性の中で生じている問題なのです。

 


下腿後面の筋肉が緊張してしまうという問題構造がある。

それは、身体全体としての問題が、ある部分に現象として現れている、ということなのです。

その原因となるものを、捉えることができないといけない、ということを言っているのです。


つまり、部分と全体 

その両面から、モノゴトを捉えていくということが重要なのです。

 

具体的にいうと、部分としての問題は下腿後面の筋肉の緊張があるがゆえに足関節背屈制限がある。

それは、その人自身の座位姿勢や、立位姿勢、歩行を観察することで、
なぜそのような問題が生じているのか、ということが理解できると思うのです。


座位姿勢で骨盤が後傾し、脊柱が全体的に後弯するような姿勢をとっているとか

立位姿勢で、支持基底面に対して重心が前方に偏っていて、足部でいうと前足部で体重を支えているとか

歩行動作において、踵を使うことができていなくて、母趾球や前足部で地面を押し返しているような身体づかいになっている、とか


重力場において、その人の支持基底面がどうなっていて、その上に広がる空間がどのように広がっていて、

その空間の中で重心線がどこに位置していて、骨・関節がどのような位置関係になっているのか?

骨・関節の位置関係により筋肉の緊張状態が変化しますよね。

 


このような部分と全体というものを観察し、“つながり” を捉えることができない限り、本当の意味での問題解決を図ることができないのです。

本質的な問題を捉えることができないからです。

 


下腿後面の筋肉が緊張してしまう原因がある。

その原因に対処する原因療法が必要なのです。

それで全体像をみることで、関連性を見つけなければいけないのです。

そういったことができないセラピストが多いわけです。

部分的なものだけを捉えて、その部分的な問題だけに対処しようとする。

 


それって、本当に意味があるのでしょうか?

そのことに関して、疑問を持たないセラピストが少なくないのです。

だから、効果を出せない。

より良い変化を引き出すことができないのです。

 


ストレッチングを用いる。

それは、ストレッチングという手技をやるということではないのです。

 

セラピストの視点が、発想がハウツウばかりに向いてしまっています。
大事なことは、その環境、その状態に合わせて、適切な対処が出来ること なのです。

 

 

下腿後面のストレッチングを例に出すと、何も背臥位をとってもらってストレッチングをしなくても良いのです。

膝の屈伸ができる人であれば、屈伸運動をする、もしくはしゃがんだ状態でしばらくいると、それでストレッチングされていますよね?

方法をやることが重要ではないのです。

考え方、用い方なのです。

 

 

『部分と全体』については、こちらのブログ記事で詳しく書いていますので参考にしてみて下さい⬇︎

“部分” と “全体” の両面からモノゴトを捉える能力が重要である icon-external-link 

 

 

刺激と反応


考え方と用い方。

ストレッチングを実施するにあたり、ストレッチングをどのように考えて、どのように用いるのか?

この視点が、とても重要です。

 

これを理解できて、活かせるようになれば、あなたの知識としての幅は広がりますし、高い効果を得ることができるようになります。

そして、何よりもノウハウコレクターになる必要がなくなります。

 

〇〇ストレッチングと、〇〇とついた色んなストレッチングの方法がありますよね?

そういったものを一つ一つ手技を覚えていく必要がない、ということです。

 

 

大事なことは身体の原理原則を理解しておく、ということです。

そして、身体の骨・関節の構造や、筋肉、皮膚について理解しておくだけで良いのです。

それだけでいくらでも応用が効くのですから。

 

 

このセクションでは『刺激と反応』という見出しになっています。

要するに、あなた自身が〇〇という目的があって、その目的を達成するために、どのような刺激を与えて、その刺激によって、どのような反応を得られるのか、ということがコントロールできるようになれば良いということです。

 

ストレッチングという手技にこだわるではなく、〇〇という筋肉の緊張をゆるめたいのであれば、どういった刺激を相手に与えることが適切なのか?

そこを考える必要があるのです。

 

 

リハビリの時間って限られていますよね?

その限られた時間の中で、静的なストレッチングをいくつも実施していたら、それこそストレッチングだけで時間が終わってしまう、ということになりかねません。


できることなら、なるべく時間をかけずに、セラピストと患者さんや利用者さんともに身体的、精神的負担をかけない方法ができればベストだと思うのです。

そういった発想を持つ、ということがとても重要なのではないでしょうか?

 

目の前の患者さんや利用者さんに対して、色んな選択肢を提示できる。

セラピストのやりたいことだけ、を押し付ける関係性ではいけないのです。

 

そういったセラピストって少なくないですよね?

自分が学んだもの、自分が得意なこと。

そういったものしかやらない。

偏ったものしかやらないわけです。

 

それは、セラピスト視点で考えたときに、最適なものを提示しているのかもしれませんが、あまりにも自己中心的ですよね。

受け手のことを考えていないのです。

相手の立場に立って、モノゴトを考えることができていないのです。

 

上記した生理学的知識のところを理解していれば、いくらでもその知識を活かした対処が可能となります。

筋紡錘、腱紡錘といった固有受容器に対してどういう刺激を、どのように与えるのか。

あらかじめ予測ができますよね?

こういう刺激を与えたら、こういう反応が起こる。

そういったものを経験の中で、身につけていくことです。

 

 

私自身は静的なストレッチングというのは、やることはないです。

時間がかかるし、あまり効果的かつ、適切な対処だと思わないからです。

他にもっと適切な対処方法がいくらでもあるからです。

 

ストレッチングをやるというと、多くのセラピストは、〇〇ストレッチングという方法の、〇〇という手技を持ち出してきます。

私自身は、そういったことはやりません。

 

 

私がよくやることは、腱を刺激しながら関節運動を繰り返す、ということです。

それで、多くの場合緊張している筋肉が “ゆるむ” からです。

これは、自己抑制というものを利用したテクニックですよね?


自己抑制とは⬇︎

筋肉が強い力を発揮すると、筋肉や腱、関節に強い力がかかり、それによる筋断裂などの傷害を防ぐために、ゴルジ腱器官が強い力を感知すると筋力発揮を一時的に抑制するという反射機構を自己抑制(Ib抑制)という

でしたね。

 

 

いちいち、筋肉ごとにストレッチングの手技を覚えなくても、関節の構造を理解し、生理的なメカニズムを理解していれば、応用できるのです。

そういったことが、あなたはできているのか?
ということです。

 

 

他に、私自身がやることは、“さすり” や “ゆすり” ですね。

“ゆする” という行為は、ストレッチやストレッチングには含まれませんが、よく使います。

 

なぜ、“さすり” や “ゆすり” を用いるのか?

それを説明しておきたいと思います。

 

それは、自律神経という観点からの話になります。

静的ストレッチングの場合、先ほども書きましたが、それをやることで多くのセラピストは “苦痛” を感じさせたり、“つらさ” などの不快感を相手に与えてしまっています

刺激の質として『快』なのか『不快』なのかでいうと『不快』になる。

『不快』な刺激を与えれば、それはストレス刺激となり、交感神経が優位な状態になってしまう、ということです。

 

交感神経が優位になると、筋肉の緊張ってゆるまないですよね?

より緊張を高めてしまうことになる。

交感神経を刺激するのではなく、副交感神経にスイッチが切り替わることで、より筋肉がリラックスした状態へと導くことが可能となる。

このことは理解できると思います。

理解はできるけど、それをただの知識だけで留まっているってことになっていないでしょうか?

 

交感神経が優位になる刺激を与えるのはなく、副交感神経が優位になるような刺激を与える。

そのことで、得られる反応が変わってくるわけです。

 

ストレッチングする、という行為の目的としては、緊張している筋肉をゆるめることですよね?

緊張している筋肉がゆるむから、関節可動域の制限となっていた制限因子が解消される。

そういった関係性があると思います。

 

 

緊張している筋肉が “ゆるむ” ためには、どういった要素が必要なのか?

そこを理解していれば、自律神経という観点からいうと交感神経を優位にするのではなく、副交感神経を優位にする、という発想が自然と生まれるはずです。

 

そして、副交感神経のスイッチを入れるために、どういった刺激を与えるのか?

こういった流れになるわけです。

刺激の方法ですね。

 

刺激の強さや質。

これで交感神経が優位になるのか、副交感神経が優位になるのかが変わってくるのです。

 

 

皮膚への刺激ということからいうと、研究結果としていわれているのは、1秒間に5センチという速度で行うことで副交感神経が優位になる

1秒間に20センチという速度で行うことで、交感神経が優位になる、といった報告があります。

 

これも目的があって、刺激をどのように与えるのかということを考えると、使い方次第ですよね。

こういった観点から、スポーツ選手などのウォーミングアップとクールダウンでは、皮膚への刺激速度が変わってくる、ということになるのです。ゆるめすぎたら、動作のパフォーマンスが低下することになるのですから。

 

ストレッチングだけではなく、筋力トレーニングも、他のあらゆることも
抽象度を上げると、刺激と反応の関係性 になるのです。

 

どういう目的があって、どこに、どのような刺激を与えるのか?

その刺激を与えると、どのような反応を引き出すことができるのか?

こういうことになるわけです。

 

この観点、視点を持てない限り、いつまで経っても枝葉の部分しか見ることができない。

“ 木を見て森を見ず ”

つまり、問題の表面的な部分しか捉えることができない、ということなのです。

 

『部分と全体』というところでもお伝えしましたが、部分と全体というのは、具体と抽象です。

このように具体と抽象を自由に行き来できる能力こそ、セラピストには欠かせない能力なのです。

こういった能力を高めることなく、部分、具体の側面ばかりみている。

それでは、より良いものを引き出すことができないのです。

 

刺激に対して、どのような反応が起こるのか?

その関係性を理解し、活かすことができれば、効果が出て当たり前なのです。

適切な刺激を与えることができれば、適切な反応が起こる。

結果に “ウソ” はない のです。

 

 

刺激とは何か?

 

『刺激』というものを、さらに抽象度を上げると『情報』になります。

 

どういった情報を与えるのか?

それは実際に相手の身体に触れる、ということだけに限らず、言葉かけや、しぐさや距離感など、非言語でやり取りしている情報も含まれます。

ゆえに、対人関係という『関係性』が重要 なのです。

 

この説明だけでは、言葉の理解が難しいかもしれません。

なので、具体的な例を出して説明すると

 

同じ人間でも、人によってあなた自身の緊張状態が変わる、ということは日常的に経験があると思います。

父親と母親、友達と兄弟など

いずれも、人間ですよね?

でも、その人間という存在一人一人に含まれている情報が、個々に異なるのです。

 

人間に反応して、あなた自身が緊張してしまっているのではなく、その人間に含まれている情報にあなたは反応しているのです。

“怖い” とか、“年上” とか、色んな情報を同時にいくつも内包していて、そういった情報という刺激に対して心身が反応している。

 

 

このように『刺激』というのは情報であり、どういった情報に反応するのかは、個々の環境で反応の有無や度合いが変わってくるのです。

ゆえに、目の前の相手と関係した際に、きちんとコミュニケーションができないことには、適切な刺激を与えることができないのです。

適切な刺激を与えることができないということは、適切な反応を引き出すことができないということになり、回復は望めないということになるのです。

 

 

セラピストの多くは、つい技術や手技に走ってしまいます。

ストレッチングでいうと、どのような力で、どのような方向に、どれくらいの時間で、といった手技についてばかり意識が偏ってしまうわけです。

目の前の相手のことを観察できていない、コミュニケーションができていないのです。

 

コミュニケーション能力がない。

それは、相手を思いやるということが欠けているのですね。

 

 

意識を持って関係したとしても、セラピスト自身が『不感症』に陥っているので、相手のことを観察したとしても、セラピストの感性が乏しいのでフィルターに引っかからない。

ゆえに、相手の反応を感じ取ることができないのです。

 

相手の反応を感じ取ることができない。

この表現では抽象的ですよね。

 

 

相手の反応を感じ取ることができない、というのはどういうことかというと、
自分自身の在り方に “違和感” がない、ということです。

あなた自身の在り方に違和感がない。

 

相手と関係しているという条件のもとに話を進めると、あなた自身の姿勢や、あなたと相手との距離感であったり、接触の仕方であったり、そういったものに違和感がない、ということです。

より具体的にいうと、“緊張状態にある” ということに気づかない、ということです。

 

あなたが緊張していれば、その緊張が相手に伝わります。

相手の緊張を受けて、あなた自身の緊張がより高まります。

そうやって、相互関係に関係性が強化されるという特性があるのです。

その “負” のスパイラルに陥らせないということが重要になってきます。

 

つまり、関係性という観点から話をすると、私たちセラピストに求められるのは、自分自身が “ゆるむ” ということです。

相手の緊張を解放しようと思ったら、手技云々ということではなく、
まずはあなたと、相手との関係性構築に意識を向けるべきなのです。

 

あなた自身の心身の状態が、あなたが関係する相手に大きく影響する。

あなたの在り方が、相手に共鳴し、共振するのです。
このことについては、こちらの記事で詳しく書いています⬇︎

人間は同調する生き物である!ゆえにセラピストの在り方が重要である icon-external-link 

 

 

 

自分自身の状態が、相手に影響を与える。

それは、自分の在り方が相手に同調する、ということです。

ゆえに、相手を整える前に、あなた自身を整えることが求められるのです。

 

こういう観点からいっても、あまりにお粗末な身体づかいをしているセラピストがいかに多いのか、ということが理解できると思うのです。

当然ながら、そういった “お粗末” な身体づかいをしているセラピストには、関係する相手からより良いものを引き出すことはできない、ということが頭では理解できるでしょう。

 

ただ問題なのは、こういったことを知識として知った上で、身体づかいを変えていこうという意識を持つセラピストが少ない、ということです。

何かしらのテクニックや技術を求めて、その方向に走ってしまう。

その結果、どんどん本質からかけ離れたセラピストができあがっていくわけです。

だから、いつまで経っても質が上がらないのです。

 

 

視点を高くして考えてみて下さい。

あなた自身の姿勢や動作というのも、あなたと関係する相手に視覚情報をはじめとして、様々な情報がインプットされているのです。

それは、つまり情報として刺激になっている。

 

その刺激により、何らかの反応が起こるとしたら、質の高い情報が相手に伝わることはありませんよね?

身体づかいが “マズい” 状態なのですから、情報でいうと無秩序な情報が伝わることになります。

 

質の低い、整合性のない情報。

それは、関係する相手の身体を整える方向には働きません。

相手の身体を整える、という秩序ある状態ではなく、その反対の無秩序な状態になってしまう。

同調するという特性があるのですから、そのような状態に陥ってしまうわけです。

こういったことも考えることができないし、無知なセラピストが多いわけです。

 

 

共鳴や共振という話でいうと、人間の脳波というのは関係する相手と共鳴や共振する、ということが研究でも認められています。

分かりやすくいうと、あなた自身の脳波がα波でリラックスしている状態だと、相手もリラックスするということです。その先には、より深いリラックスの段階であるθ波という状態もあります。

交感神経が優位になったり、思考が頭の中でグルグルと巡っていたりしていると、脳波も同じ状態に同調することになります。

 

あなたの状態が、写し鏡のように相手に影響する。

そのことをきちんと受け止め、考える必要があります。
そうでないと、本当の意味で何も良いものを引き出すことができない。

あなたは何もできないのです。

 

 

テクニックや技術至上主義からは卒業しましょう。

『関係性』が全てなのです。

情報なのです。

 

あなたという情報は、どういった情報を相手に与えているのか?

そこをもっと考えてみる必要があるでしょう。

 

 

セラピストの在り方については、こちらのブログ記事をぜひ読んでみて下さい⬇︎

セラピストの在り方が、目の前の相手に及ぼす影響力を認識せよ!  icon-external-link 

 

 

ストレッチングの対象は?


ストレッチやストレッチングの対象となる組織は、筋肉や腱ですね。

様々なストレッチングの手法がありますが、そういったものの対象は主に筋肉が対象になっています。

そのことについては、あまり疑問を持つことではないと思います。

 

私たちセラピストも、一般の人も『ストレッチング=筋肉を伸ばす』という先入観や思い込みがあるからです。

そういった情報がすっかり刷り込まれているから、そこに何も疑いの余地が生まれないのです。

 

ここでは、このことについて問いを立てて頂きたいと思います。

問題提起したいことがある、ということです。

 

 

それは何か?

 

組織という観点でみたときに、筋肉というものはどこに位置しているものなのでしょうか?

皮膚が最も体表部にある組織だとしたら、筋肉という組織は、どこにありますか?

 

簡単にいうと、『皮膚→筋膜→筋肉→骨』といった順番に組織が並んでいます。

 

この観点からいうと、筋肉というのは体表部から深いところに位置している組織ということがいえます。

なのに、そこに対して伸張刺激を与えることで、緊張している筋肉をゆるめようとしている。

 

 

発想としては、こうでしょう⬇︎

緊張して硬くなっている筋肉がある→じゃあ、その筋肉を伸ばしてゆるめよう

至って単純な発想です。

 

しかしながら、筋肉の上にある筋膜や皮膚は、どうなっているのでしょうか?

筋肉が緊張しているということが、筋膜や皮膚にどのような影響を与えているのか?

そこを考えることが重要であるということが言いたいのです。

 

もちろん、筋肉だけが硬くなっていて、その上にある筋膜や皮膚は柔軟性がある、ということはないでしょう。

“つながり” があるのですから、当然緊張してしまっているのです。

 

 

筋膜リリースという手技があります。

それは、筋肉の上にある筋膜の緊張をリリース(解放)することで、筋膜の下にある筋肉の緊張を “ゆるめる” という目的があります。

確かに、筋膜をリリースすると、その下にある筋肉が “ゆるむ” 。
当然ですよね?

上下で “つながり” があるのですから。

 

この観点からいうと、筋膜は体表部にある組織ではありません。

筋膜の上には、皮膚がある。

じゃあ、皮膚をゆるめればいいんじゃないか、という発想が生まれるわけです。

 

こういった観点から、皮膚に対してのアプローチも方法としてあるわけです。

実際に、本もありますし、手技としても方法論が確立されています。

 

様々な方法論だけ、テクニックや技術にしか目を向けることができないセラピストは、ノウハウコレクターにしかなれず、臨床において何をしたら良いのか、何を選択したら良いのか分からなくなります。

本質を捉えることができないがゆえに、迷うのです。

で、結果を出せない。

 

 

私たちの身体は有機的に “つながり” をもった存在です。

ゆえに、何か部分的なものだけに目を向けるにではなく、関連性をもってモノゴトを捉えることができるようになれば、何をすれば良いのか、ということが分かるようになるはずです。

 

視点が偏っているがために、視野が広がらない。

だから、筋肉が硬くなってしまっているから、その硬くなっている筋肉を伸ばそう、という単純な発想にしかならない。

 

その選択が、ベストな選択であればやれば良いでしょう。

でも、多くの場合そうではない。

もっと視点を高くして、視野を広げてみると、色んなことがみえるようになってくる。

そういった能力を養っていくことが重要なのです。

 

 

私自身も、『皮膚』組織へのアプローチを行います。

その理由としては、様々な観点があり、どの観点から話をするのかで変わってくるのですが、先ほども書いたように体表部がゆるめば、その下にある組織も “ゆるむ” からです。

皮膚の緊張が高いのに、その下にある筋肉をゆるめようと努力しても、そう簡単にゆるまない。

逆にいうと、皮膚の緊張を解放できれば、その下にある筋肉の緊張を楽に解放できる、ということなのです。

 

 

まとめ


今回のブログでは、ストレッチングについての話をお伝えしてきました。

ストレッチングとストレッチについては、言葉の概念として同じもの扱いされていることが少なくありませんが、それぞれに概念が異なるものです。

 

私自身の概念としては、ストレッチとは『伸ばす』という行為をストレッチとして使っています。

持続的な伸張刺激のことをストレッチングとして使っています。

 

これを前提に話をすると、私自身はストレッチを用いることがあっても、ストレッチングという行為はほとんどやりません。

その理由は、ストレッチの方が刺激として適切な場合がほとんどだから。

『刺激と反応』という観点からいうと、ストレッチが適切な刺激である場合が多いから、ということなのです。

 

そして、ストレッチという刺激を用いますが、〇〇ストレッチングといったような何か特定の手技は使いません。

ブログの中で書いたように、ある目的があって、その目的のためにどういった方法を用いるのか?

そういう視点でモノゴトをみているからです。

 

ある目的があって、どういう状態を得たいから、それを得るために、どういった刺激を与える、ということに意識が自然と向くからです。

こういう発想で、あらゆるモノゴトを捉えている。

 

ストレッチも、ストレッチングも

より良く姿勢を整えるのも

より良い動作を引き出すのも

『刺激と反応』という観点からモノゴトを捉えている

 

そして重要なのは、その視点をもって問題構造を考えるときに、

『部分と全体』『木を見て森を見ず』という視点も欠かさずに持っている、ということなのです。

 

 

話が難しくなりますが、私が臨床でやっていることは『情報操作』なのです。

催眠術をイメージして頂けたら理解しやすいと思うのですが、どういった情報を与えて、その与えた情報が、情報を受け取った相手にどのような反応を与えるのか?

相手の主観の世界に、情報を適切に与えることができれば、その情報が反映されます。

PCでいうと、あるファイルをダウンロードしただけで使えないけど、ダウンロードしたファイルを解凍して、インストールすることで初めて使えるようになる。

このようなものなのです。

 

自分自身がどういった情報を、関係する相手の脳にダウンロードして、ダウンロードした情報がどのように相手の脳にインストールされるのか?

そこまで考えて、与える情報をコントロールしなければいけないのです。

 

コントロールするというのは、相手の主観の世界に落とし込める適切な情報、ということです。

相手が理解、認識できない情報をただ一方的にインプットしても、その情報は排除されるだけです。

相手の主観の世界にフィットする情報をどれだけ適切に与えることができるのか?

関係性が重要なのです。

 

そのために、対話力やコミュニケーション能力が欠かせないのです。

 

 

今回のブログでは、ストレッチングの具体的な方法論についての話はお伝えしていません。

そういったものをお伝えすることが、あなた自身が質の高いセラピストになるために必要なことではないと思っているからです。

 

大事なことは『本質』ですよね?

そこを理解することが、何よりも重要なことだと考えているからです。

 

あなた自身の成長や進化を望むなら、ノウハウコレクターを目指すのではなく、モノゴトの本質を捉えることができる力を養いましょう。

本質力を高めることができれば、いくらでも応用がきくようになるのですから。

結果の出せる、相手の可能性や能力を引き出せるセラピストになれるのです。

 

 

ということで、今回のブログは以上になります。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

 

 

今回のブログ記事を書くにあたっての参考文献

 

 

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